主砲不在で露呈したのは、穴ではなく老かいな編成眼だった。ヤンキースは16日(日本時間17日)現在、44勝27敗でア・リーグ東地区首位を堅持。アーロン・ジャッジ外野手(34)が右第1肋骨の疲労骨折で離脱し、復帰時期も見通しにくい中、チームは直近8戦7勝と失速どころか底力を見せつけている。

 そこで改めて評価を高めているのが、就任29年目のブライアン・キャッシュマンGM(58)だ。主砲の長期離脱に慌てて外部補強へ飛びつくのではなく、下からの引き上げや内部のやり繰りでまず穴を埋める。米東部時間8月3日午後6時(同4日午前7時)のトレード期限まで時間を使い、市場を見極める姿勢には、MLB関係者の間でも「さすが」との再評価が広がっている。

 その編成眼は、ブルペンを巡っても浮かび上がる。今季のヤンキース救援陣は16日時点で防御率3・38とメジャー5位ながら、勝負どころで不安定さを見せ、補強ポイントに挙げられている。だが米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は、昨オフにチームを去った救援投手たちの現状を踏まえ、ヤンキースが彼らを引き留めなかった判断は正しかったとの見方を示した。

 代表格がデビン・ウィリアムズ投手(31)だ。2025年はヤンキースで守護神の座を失い、今季はメッツへ移籍。ここまで26試合で防御率5・01、被OPS0・726、四球率13・6%と本来の姿から遠い。マーク・ライター・ジュニア投手(35)もアスレチックスで31試合、28回2/3を投げて防御率5・02。イアン・ハミルトン投手(31)はブレーブスで1試合に登板しただけで3失点を喫し、その後は3A暮らしが続いている。

 もちろん、現在のブルペンが万全というわけではない。勝負の夏へ向けて補強が必要になる可能性は十分ある。ただし「今足りない」ことと「過去の投手を残すべきだった」は別問題だ。消耗が激しく浮き沈みの大きい救援投手を、実績や名前だけで抱え込まない。必要な時に見切り、必要な時まで動かない。ジャッジ不在でも首位を守るヤンキースの強さの裏には、キャッシュマンGMの冷静な線引きがある。