静観していたはずのシアトルが、突然争奪戦の〝リング〟に上がった。米メディア「ヘビー」が報じたところによれば、ブルージェイズからFAとなり去就が取り沙汰されるボー・ビシェット内野手(27)を巡り、マリナーズの名前が移籍先候補として急浮上したという。

 発火点は、米紙「ニューヨーク・ポスト」のジョン・ヘイマン記者の言及だ。同氏はビシェットの移籍先候補として、フィリーズ、レッドソックス、ヤンキース、カブス、ブルージェイズ、ドジャース、メッツの7球団を列挙した上で、さらに「マリナーズも候補」と付け加えた。

 ただし、その温度感は現時点で高くないようだ。前出の「ヘビー」の分析では「まだ積極的に動いていない」とされ、具体的な交渉の深度は不明。にもかかわらず名前が挙がった事実そのものが、今オフ最大級と目されるFA内野手案件にシアトルが参戦したサインとして波紋を広げている。

 理屈は分かりやすい。実績あるオールスター打者で、ポストシーズン経験もあるビシェットは、波のあるマリナーズ打線をならす処方箋になり得る。だが同時に最大のネックはカネだ。同メディアの記事ではシアトルは26年も前年と同水準の年俸規模を見込むとされ、予算の多くはすでに埋まっている。獲得に踏み切るならロースターを動かして柔軟性を作る必要があり、ここまで大型投資をためらってきた姿勢とも整合する。

 一方で、争奪戦は待ってくれない。「ジ・アスレチック」のマット・ゲルブ記者とケン・ローゼンタール記者によれば、ビシェットとフィリーズが会談したとも伝えられた。出遅れたまま様子見を続けるのか、それとも土壇場で勝負に出るのか。マリナーズが漂わせた微かな〝参戦の影〟が、移籍市場の空気をもう一段ざわつかせている。