制御不能のカリスマがまさかの一日限定帰還だ。新日本プロレス4日東京ドーム大会で、現役生活にピリオドを打った棚橋弘至(49)の引退セレモニーに、「ロス・トランキーロス・デ・ハポン(LTJ)」の内藤哲也(43)が電撃登場した。自身を新日本に導いた憧れのレスラーの最後の舞台に花を添えた格好だが、昨年5月の退団後初となる古巣マット登場には何ともデスティーノな舞台裏があった――。

 まさかのサプライズだった。オカダ・カズチカ(38=AEW)との引退試合で完全燃焼した棚橋のセレモニーには、武藤敬司、藤波辰爾、柴田勝頼、飯伏幸太、ウィル・オスプレイ、ケニー・オメガ、ジェイ・ホワイトと縁深いレスラーが集結。記念撮影を終えて終了…かと思われたその瞬間、なんと内藤の新日本時代の入場曲「STARDUST」が鳴り響き、場内は騒然となった。

 現在の入場曲「EL COMIENZO」に変わると、BUSHIとともに内藤が花道に登場。リング上で「もう二度とリングで戦うことはないでしょうが、またいつかこの新日本プロレスのリングであなたに会えることを楽しみにしてるぜ。その日までアディオス!」と棚橋にメッセージを送り、最後は拳を突き合わせて去って行った。

棚橋弘至(左)に花束を渡すBUSHI
棚橋弘至(左)に花束を渡すBUSHI

 大会後に取材に応じた内藤は、古巣マットへの電撃登場実現の経緯を明かした。実は当初、内藤とBUSHIはこの日は英国での試合が予定されていた。ところがこれが直前になって日程変更になったという。

「一度は思いを断ち切って海外で試合を入れていたわけです。『これでドームは見れないな』って思いましたけど、あくまで俺は現役なので、自分の道を選んだはずだったんですけど…。これも何かのデスティーノなのかなと思いますね」と振り返った。

 急転直下の出来事の末、実際に来場が決まったのは昨年大みそかだった。出場予定だった元日のノア日本武道館大会前、内藤と会った際にBUSHIが提案。「当日の試合がなくなったのも、誰かに背中を押されてる気がして。長年付き合ってきて、内藤哲也と棚橋弘至が最後に会う機会はあった方がいいんじゃないかなと思ったので。辞めた後も気にかけてくれていた菅林(直樹=会長)さんに相談したんです」(BUSHI)。

 数奇な運命に導かれ、超満員の東京ドームでの再会。内藤は「棚橋弘至に憧れて新日本プロレスに入ったし、デビュー戦(1999年10月)を生で見てますからね。だから引退試合も、この目で見ておきたいなと思って東京ドームに来ましたよ。確かに辞めた団体だから、来る必要はなかったかもしれない。でも俺にとって棚橋弘至はそれだけ特別なレスラーだったのかなと思いますね。この目で最後の瞬間を見届けたくなったんですよ」と珍しく素直な気持ちを告白。

「別に復帰してほしいとか、そういうのはないですよ? ただ『俺との最後のシングルマッチは、まだやってませんよね』っていう気持ちはあります」と不敵に笑いながら、東京ドームを後にした。