【赤ペン!】ここ数年、最も数多く取材したのはDeNAの三浦大輔前監督である。特に番長が毎回ほぼ欠かさず対応した試合前の囲みが印象深い。当然、報道陣の質問はその日の試合の采配や選手起用に集中するが、肝心のことはすべて口にチャック。

 選手にどんな話をしているかと聞くと、「言わないです」の一点張り。筒香や東への期待の程を質問しても、「彼らだけじゃなく全員に期待してます」。さらにCS進出のかかった重要な試合の前でさえ「いつもと変わらず、一戦一戦です」。

 昨年日本シリーズ第5戦に勝ち、いよいよ26年ぶりの日本一に王手をかけた後、私は三浦監督にこう質問してみた。

「あと1勝で日本一でも第6戦は『いつもと変わらず一戦一戦』ですか。答えはわかっていても、聞かなきゃいけないから聞きますが、どうですか」。すると、番長はニヤリと笑って、「はい、その通り。一戦一戦です!」。

 三浦監督の“名演技”にまんまとだまされたこともある。今年8月1日の巨人戦(東京ドーム)の試合前、昨季から7連敗中の相手先発、“天敵”山崎について、私が「牧君に一発欲しいですね」と水を向けたら、番長はうなずいてこう答えたのだ。

「前回(7月11日)ハマスタで一発(15号ソロ)を打ってくれてますからね。そのいいイメージで打席に入ってほしい」

 ところが、それから間もなく、牧の登録抹消が公示された。三浦監督は試合後に「上半身のコンディション不良」とだけ説明。牧が左手親指靱帯修復手術を受けたと判明したのは6日後だった。

 そんな番長も入江の話になると個人的思い入れが感じられた。今季右肩手術から復帰した入江を一時抑えに抜てき。最後の采配となったCSファイナルステージでは8回に入江を送った。結果は無安打2三振である。

 試合後、監督生活最後の囲みで、聞いてみた。「最後の投手起用が入江君。きっと特別な意味があるのではないですか」「うん。入江も苦しんで、苦労してましたしね。僕から本人にも言いましたよ。いい投球をしたな。あれを続けるようにと。いつもああいういい投球をしてくれてればねえ」

 目を潤ませながらそう語った三浦監督、最後はこう言って締めくくった。「(マスコミの)皆さんにはいろいろご迷惑をおかけしました。あんまりしゃべらないからね。もっと期待に応えられればよかったけど、これも性格なので申し訳ありません」

 いえいえ、十分楽しませていただきましたよ、番長。