今季屈辱のセ最下位に沈んだヤクルトは、主砲・村上宗隆内野手(25)のメジャー流出が決定的。チーム再建を託され、今オフから指揮官に就任した池山隆寛監督(60)は極めて難しい状況からのスタートを余儀なくされている。燕再生の鍵はどこに眠っているのか――。計13シーズンにわたりヤクルトで打撃コーチを務めてきた本紙評論家・伊勢孝夫氏は、強打者育成に定評のある同球団の風土と伝統に着目。「辛抱強い若手起用でチームの新陳代謝を促すしかない」と提言した。
【新IDアナライザー・伊勢孝夫】ただでさえ、今季最下位に終わったチームから3冠王打者が抜けてしまうのだから戦力的にはあまりにも厳しい。池山新内閣の顔ぶれを見ても経験&実績豊富なコーチは少なく、球団サイドのサポート態勢にも疑問を感じてしまう。今オフも目立った大型補強はなし。早くも〝次期監督候補〟とみなされている青木GM特別補佐(来年1月からのGM昇進が発表済み)と池山監督の役割配分についても、あいまいな部分が多いと旧知の関係者から伝え聞く。
荘司、大西、星らの台頭で長年の課題だった救援陣が整備されつつあるのは数少ないポジティブな要素だが、肝心の先発陣の枚数が少なすぎる。奥川、高橋らが負傷癖を克服し、シーズンを通してローテを守れるかが鍵になる。
それ以上に深刻なのが絶対的な柱だった村上を失うことになる打撃陣だ。長くチームを支えてきてくれたオスナ、サンタらにこれ以上の伸びしろを求めるのは年齢的にも厳しい。来季で34歳になる山田に関しても同様だ。チームが過渡期を迎えた今だからこそ、積極的な若手起用に活路を見いだしてほしい。
主力打者のFA流出などでチームが低迷期に突入すると、彼らと入れ替わるように新たな若い強打者が芽を出してくる――。そんな歴史をヤクルトは過去に何度も繰り返してきた。岩村(明憲)、山田、村上などがその典型だ。
狭い神宮球場は他球団と比べ、ホームランが出やすい。これぞと思った若手野手を一軍で辛抱強く起用し続け、一発の味とともに打者としての自信を植え付けてやりたい。広い甲子園を本拠地とする阪神が、投手育成を得意にしているのと同じ理屈だ。
現役時代の池山監督も高卒4年目の1987年に、12歳年上の水谷(新太郎)から遊撃の定位置を奪い取ることに成功し自身の道を切り開いた。猛練習に裏打ちされた打者としての〝成功体験〟を、今度は指導者としてチームに還元してほしい。その先にはきっと、ヤクルトの新たな黄金時代が待っているはずだ。=敬称略=
(本紙評論家)












