涙の裏には同級生の〝絆〟があった。カーリングのミラノ・コルティナ五輪最終予選6日目(10日=日本時間11日、カナダ・ケロウナ)、女子プレーオフが行われ、1次リーグ2位の日本代表・フォルティウスが同1位のノルウェーを6―5で下し、五輪切符を勝ち取った。スキップ・吉村紗也香(33)とサード・小野寺佳歩(34)は、北海道・北見市出身の同級生。5度目の挑戦で五輪行きを決めた吉村といぶし銀の小野寺は、いちずに夢を追い続けていた。

 5―5の最終第10エンド(E)は、ノルウェーが最終投を決めきれず、フォルティウスに勝利の女神がほほ笑んだ。1次最終戦で敗れた相手から白星を奪取し、歓喜の輪が出来上がった。数々の好ショットを披露した吉村は「このメンバーで五輪の出場権を勝ち取ることができて、すごいうれしい気持ち。総力戦でつかみ取った勝利」と声を弾ませた。

 ジュニア時代から名スキップとして注目を集めた吉村は常呂高(北海道)時代の2010年バンクーバー五輪から大舞台を目指すも、いずれもあと一歩のところで涙をのんだ。22年北京五輪出場を逃した後には、スポンサー企業から契約を打ち切られるなどの困難もあったが「ずっと目指してきた場所」と決してあきらめることはなかった。

 その姿を間近で見てきたのが小野寺だ。吉村はジュニア時代から同郷の同級生でロコ・ソラーレ(LS)のスキップとして活躍する藤沢五月(34)と切磋琢磨。そのすごさを誰よりも知るからこそ、強い思いを本紙に明かしていた。

「絶対に一緒に(五輪へ)行きたい。日本のカーリング界を何年も引っ張っているスキップ。出るべき存在だと思っているし、たくさんの人たちにプレーしている姿を見てほしい」

 今大会の小野寺は腰痛の影響で2試合欠場。この日も万全な状態ではなかったものの、力強いスイープで吉村の好ショットをアシスト。試合後には「さや(吉村)と一緒に(五輪に)行くことがかなってうれしい」と声を震わせた。

 各Eの最終投を担うスキップは注目を集める一方で、自身のショットが勝敗を左右する重圧の大きいポジション。食事も満足に取れないほど追い込まれることもある。そんな時に小野寺は吉村に前向きな言葉を掛け続けた。

 吉村は「何か自分が思っている時に佳歩と話すと、プラスの言葉が返ってくる。自分にとって佳歩の存在はすごく大きいし、助けられている」と回想。お互いが支え合い、一つひとつ壁を乗り越えてきた。

 数々の厳しい戦いを制して、重かった扉を切り開いた。ただ、ゴールはまだ先にある。吉村が「やっと五輪の舞台に立てる喜びもあるけど、目標の五輪金メダルに向かって、このチームでまた準備をしていきたい」と言えば、小野寺も「やっとスタートラインに立てる。五輪金メダルを目指して頑張っていきたい」と力を込めた。

 LSは18年平昌五輪で銅メダル、22年北京五輪では銀メダルを獲得した。ライバルからバトンを受け継いだフォルティウスによる〝金メダル〟物語がいよいよ幕を開ける。