プロ野球の「現役ドラフト」が9日に非公開で行われ、ソフトバンクの佐藤直樹外野手(27)が楽天へ移籍することになった。今季キャリアハイの104試合に出場した外野手を手放せた背景には、チーム独自の戦力事情があった。

 2019年のドラフト1位でホークスに入団した佐藤直。23年オフには育成落ちも経験した苦労人だが、今季は代走や守備固めを中心に起用され、自己最多を大幅に更新する104試合に出場。打率2割3分9厘、5本塁打、18打点、10盗塁と、いずれもキャリアハイの成績を残した。

 過去5年間で最多出場が22年の48試合だったことを踏まえれば、まさに「飛躍の一年」だったと言える。それでもホークスが現役ドラフトで放出できた理由は、分厚い選手層と守備位置の「壁」にあった。

 ドラフト1位という指名順が示すように佐藤直のスピード、強肩など身体能力や、秘めたるポテンシャルは一級品。しかし、中堅には絶対的存在の周東が君臨し、両翼には近藤、柳田、柳町が控える。さらに次世代候補として正木、笹川らも待機するなど、ホークス外野陣は球界屈指の「超激戦区」だ。今季は故障者続出の影響でスタメン出場も増えたが、年間を通じて試合後半からの起用が基本線だった。

 高い守備力と走塁技術は来季以降も一軍戦力となり得るが、現状の布陣を考えればレギュラー獲りは険しい道となる。我慢強く起用を続ければ〝大化け〟の可能性も秘めるものの、リーグ連覇を達成したホークスでは優先的にチャンスを与えられる立場とは言い難い。

 永井編成育成本部長は「本当はレギュラーを取れる能力がある選手。他球団に行った時に、もっと彼の可能性が広がるんじゃないか」と語り、小久保監督も「環境が変われば出るチャンスも増えるだろうし、思い切ってやってほしい」とエールを送った。

 便利屋からレギュラーへ――。新天地・楽天へ羽ばたく、佐藤直が今季を上回る〝第2の飛躍〟を見せられるかが大いに期待される。