強烈な突き上げを食らった主力たちの危機感は相当だ。ソフトバンクの牧原大成内野手(33)が7日に福岡市内で行われたトークショーに登場し、熱烈なファンと交流。「素でしゃべってしまいました…」と硬軟織り交ぜた牧原節で鷹党を楽しませた。

 オフのトークショーは、客観的にシーズンを振り返るにはもってこいだ。「今季の陰のMVPは?」――。司会者からの問いかけに牧原大は、野村勇内野手(29)と回答。イベント後にその真意を詳しく聞くと、実にたたき上げの男らしい答えが返ってきた。「年間通してと考えたら、やっぱり勇。これでまた来年、今宮さんとか、僕とかも死に物狂いでやらないといけないってなる。いい流れだと思います」。二塁、三塁、遊撃を守り、スピードと長打を兼ね備え、今秋には代表デビューを果たした中堅の台頭をハイライトに挙げた。

日本シリーズ第5戦で、優勝を決める延長決勝ソロを放ったソフトバンク・野村勇
日本シリーズ第5戦で、優勝を決める延長決勝ソロを放ったソフトバンク・野村勇

 今季パ・リーグ唯一の3割打者にして首位打者、初のベストナイン、ゴールデン・グラブ賞を手にした牧原大に慢心はない。「全くないです。これで油断してたら絶対に誰かに明け渡す形になるんで」と危機感を募らせる一方で、何度もうなずきながらこうも言った。「これがホークスの良さ。だから、ずっと強いチームであり続けるんだと思う。やっぱり下からの突き上げがある分、主力と呼ばれる人たちもウカウカしていられないっていうのが強さってところにつながっている」。

 絶対的主力と呼ばれる高い壁に挑み、不動の地位を揺るがす――。柳町とともにチーム内競争を活性化させた野村の台頭をたたえた。

 来季は34歳を迎え、3年契約の最終年。強い危機感は2大会連続出場も視野に入る第6回WBC(来年3月開催)への捉え方にも表れている。「今『出ますか』って聞かれても『はい、行きます』と即答はできない。やっぱり本職はホークスでしっかりやることなんで。WBCで優勝したけどペナントレース出られませんってなったら、それでクビになるかもしれない。やっぱりメインはちゃんとホークスでレギュラーを守ること」。

 隙をつくれば地位は揺らぎ、踏ん張れない年長者は居場所を失う。死に物狂いの争いがチームを強くし、選手寿命を延ばす実例を見てきた。「まだ若手に負ける気はないです」。野村の台頭を歓迎しつつ、危機感いっぱいのオフを過ごしている。