プロ野球の発展に最も貢献した球界関係者に贈られる「正力松太郎賞」の選考委員会が13日に東京都内で開かれ、ソフトバンクの小久保裕紀監督(54)が選ばれた。今季はチームをリーグ連覇に導くとともに、5年ぶりの日本一を達成。その手腕を評されての初受賞となった。

 指揮官は「今年こそは頂上まで登りきるという思いでシーズンに入り、選手たちはそれぞれの役割を理解し、最後まで勝利を信じて戦い抜いてくれました。その姿勢こそが、今回の受賞につながった最大の要因だと思っております」と喜びを語り、「この賞は福岡ソフトバンクホークスという組織全体の努力の結晶です」とチームの組織力に胸を張った。

 監督就任2年目で手にした勲章。そこには選考委員の座長を務めた王貞治球団会長も絶賛した短期決戦での〝決断力〟が結びついていた。阪神との日本シリーズでは継投や代打起用など、采配面で積極的に勝負手を打った。第4戦では好投していた先発の大津に代えて6回に代打・近藤を送り貴重な追加点につなげると、第5戦では3勝1敗と優勢ながら有原を「中4日」で先発起用。先手を打つ姿勢を最後まで崩さなかった結果、頂きに立った。王会長は日本一を達成した後、指揮官の采配について「近藤君を代打に使ったりね、大胆な思い切りのいい起用もしていましたね。去年、よっぽど悔しかったんでしょうね。そういった意味でいい采配をしたんじゃないでしょうかね」とその手腕をたたえていた。

 決断力が光った背景には昨年の苦い〝反省〟があった。2024年のDeNAとの日本シリーズでは、敵地で連勝スタートを飾りながらまさかの4連敗で終戦。小久保監督は当時について「短期決戦になると落とせないという欲が出てきて迷ってしまった。(データや数字を)詰め込みすぎて、うまく働かない方向になってしまった」と自身の中に起こった負の連鎖を振り返った。今年はその反省を生かし「その時の選手の動きや自分の決断」に重きを置き、常に機先を制した。その結果が5年ぶりとなる栄冠につながった。

 勇断の末につかんだ日本一と球界の勲章。だが、すでに「同じことをしても勝てない」とリーグ3連覇に向けて先を見据えている。光らせた決断力をさらに磨き、球界を発展させていく。