ソフトバンクは29日の「SMBC 日本シリーズ 2025」第4戦(甲子園)で阪神に3―2で勝利した。シリーズ3連勝で対戦成績は3勝1敗。初戦黒星をモノともせず破竹の勢いのまま5年ぶりの日本一へ、王手をかけた。試合前には今宮健太内野手(34)が右かかと痛でベンチ外。戦線離脱の中村晃外野手(35)とともに、精神的支柱ともいえるベテランが不在の状況でもチームが慌てる様子はなかった。背景には、これまで鷹が幾度も乗り越えてきた数々の〝修羅場〟があった。

 敵地で強さを見せつけた。打線は2回に山川がシリーズタイ記録の3試合連続となるソロで1点を先制。その後も代打・近藤に適時打が飛び出すなど要所で得点を奪った。投げては先発の大津が5回無失点の好投。4番手の松本裕が2点を失うも、最後は守護神・杉山がピシャリと締めた。

 苦境でもチームに焦りは見えなかった。今シリーズ不在の中村に加え、今宮も右かかと痛でベンチ外。何度も短期決戦を経験してきたベテランの不在はチームが浮き足立つ要因に十分なり得た。それでも鷹は普段通りの野球を遂行し、見事に勝ち切った。なぜ普段通りのプレーができたのか。その要因には、さまざまな〝修羅場〟を乗り越えた自信と経験値がある。

 1つ目の修羅場はレギュラーシーズン。ある首脳陣は「今季はケガ人が出ても代わりの選手が役割を果たす、チームをうまく回せるような土台(どだい)をシーズンで作ってきた。その土台があるからこそ、今回のような局面でも変わらずプレーできる」と打ち明けた。今季のホークスは野手陣を中心にケガ人が続出。序盤は最下位に落ち込んだが、野村、柳町らの台頭もありリーグ連覇を果たした。不在の選手がいても他の選手がその穴を埋める――。そんなシーズンの戦い方が大舞台でも生きたというわけだ。

 そして、2つ目はCSでの修羅場だ。チーム内からは「日本ハムとのCSで3勝3敗で迎えた一戦がキツすぎた。あれを乗り越えたことでチーム内に『しっかり準備をするだけ』という共通認識ができた。今日もCS第6戦の時にあった変なピリピリ感はなかった」という声も上がった。連勝から、まさかの3連敗で追い詰められたCSファイナルステージ。「負ければ終わり」の〝崖っぷち〟を切り抜けたことでナインの腹がより据わった。

 2024年の頂上決戦でセ3位のDeNAにまさかの4連敗を喫し、日本一を逃してから1年。「昨季の日本シリーズ4連敗の経験が生きると思う。『一気にいかなきゃ』という姿勢はどの選手も持っている」(チーム関係者)とスキを見せる様子はない。選手、首脳陣、スタッフ、そして鷹党が5年間待ち望んだ歓喜の瞬間が刻一刻と近づいている。