「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が23日に都内のホテルで開かれ、ソフトバンクがドラフト1位で佐々木麟太郎内野手(20=米スタンフォード大)の交渉権を獲得した。DeNAと競合の末に抽選となり、くじ引き役の城島健司CBO(49)が見事に引き当てた。入団の最終意思決定が来夏のMLBドラフト後となるリスクを承知の上での「1位指名」。なぜ、鷹は佐々木の〝一本釣り〟に自信があったのか。その舞台裏に迫った――。
この日、会場内からは一部で「単独指名」ではなかったことに驚きの声が上がった。それほどまでに、ソフトバンクにとっては「確かな勝算」があっての指名だった。
交渉権獲得後、城島CBOは「抽選になるとは予想していなかった」と偽らざる胸中を明かした。これは紛れもない本音だろう。思わぬDeNAの1位指名で抽選に持ち込まれたが「残り物に福がある」(同CBO)と笑った通り、誤算をものともせず縁をつないだ。
世間的には強行指名と捉えられるかもしれないが、赤い糸で結ばれていた。大きなプロジェクトほど、用意周到かつ隠密に行われるものだ。2年前の初夏、当時はまだ特別アドバイザーの肩書だった城島CBOが花巻東(岩手)に出向いて佐々木を直接視察。プロ志望届を出さずに米留学を選択したことで結ばれることはなかったが、当時からホークス側が「将来の核となる選手」として、実力を高く評価していたのは事実だ。
佐々木は、高校時代「怪物級」のパフォーマンスで通算140本塁打をマーク。どうしても欲しい逸材だった。球団側には苦い過去がある。文字通り「世界的有望株」だった2012年当時・花巻東の大谷翔平(現ドジャース)を同年のドラフト会議で日本ハムが単独指名し、メジャー志望の強い願望を翻意させる形で入団にこぎつけた。
勝負に打って出ることもなく、見守ることしかできなかったソフトバンク側には後悔の念が残った。孫正義オーナー(68)の大号令で「目指せ世界一」を掲げるホークス。戦いの土俵に上がることすらなく、世界一の選手を獲得するチャンスを逃した事実は「苦い過去」として刻まれている。限界をつくらず挑戦の連続で世界的企業を築いた総帥が率いる球団として同じ轍は踏まないという思いが、フロントにはあったはずだ。
だからこそ佐々木の徹底マークを極秘裏に敷いた。米留学を決断する前からあらゆるコネクションを使い、調査を続けてきた。「NPBの中では、われわれが最も佐々木くんの気持ちを把握できていると思っている」(球団関係者)。スタンフォード大でプレーする本当の理由を含め、鷹だけが知り得る事情もある。
こうした背景もあり、勝算を見込んでの1位指名だった。実際に球界関係者の1人は「佐々木陣営が『NPBならソフトバンク』と言えるところまで誠意を尽くしての指名」とも言い切っている。その手ごたえからDeNAの〝強行指名〟に球団内外で驚きの声が上がるのは、自然な反応だったのかもしれない。
無論、佐々木は高い志を持って海を渡った。名門スタンフォード大では1年生から主力を張り、夢でもあるMLBへの道を自力で切り開くことも可能だ。来年7月開催予定のMLBドラフトではメジャー球団からの指名を待つ。佐々木は果たしてどんな決断を下すのか。
「われわれは全然待ちます」と20歳の心中をおもんぱかりながら「来てくれると信じています」と力を込めた城島CBO。球団は佐々木の意思を尊重し、これまでと変わらず誠意を示していく方針だ。9か月後、運命的なドラフトの最終結果に注目が集まる。











