全日本プロレスのエース・宮原健斗(36)が、懇意にした後輩で先日亡くなった長尾一大心さん(享年21)への思いを語った。15日の後楽園大会で行われた「王道トーナメント」で本田竜輝(25)との決勝戦を制して3年ぶり3度目の優勝を果たすと、故人の遺志とともに前に進むと宣言。後輩の早過ぎる不幸に、その胸中は――。

 真霜拳號、野村直矢、関本大介と強敵を撃破して決勝に駒を進めた宮原は、2年連続で準優勝に終わっている本田竜輝と対戦。怒とうの攻めを受けたが持ち味のタフネスで耐え抜くと、最後はシャットダウンスープレックスで優勝をつかんだ。

 試合後は3冠ヘビー級王者・斉藤ジュンに23日の東京・立川大会での挑戦を表明。だが、今回はそのやり取り以上に長尾さんへの思いを語り「一大心はこの全日本プロレスのレスラーであることに、誇りを持っていました。だから僕たちは一大心が誇ったこのリングを、さらにキラキラにしていくんだという気持ちで前を向いていきます」と誓った。

 長尾さんは5月31日に巡業バスと接触。その後集中治療室で治療を続けてきたが、7日に帰らぬ人となった。この日の追悼式で長尾さんの遺影を持ちリングに上がった宮原は「正直、追悼式の時は遺影を直視できなかったです。だけど遺影を持つのは、ご家族に言っていただいたからなんです。だから『しっかり務めなきゃな』っていう気持ちがありました」と振り返る。

決勝後、涙する本田竜輝(右)の腕を掲げる宮原健斗
決勝後、涙する本田竜輝(右)の腕を掲げる宮原健斗

 その後に臨んだ試合だったが「なんとか切り替えました。お客さまもいろんな気持ちを持って来られてるだろうし。それでもやっぱり、今日は一大心の存在っていうのが、ちらつきましたね」と吐露した。

 故人について「半分〝付け人〟みたいな仕事をやってもらってたんです。洗濯をやってもらったりしていました」と話す通りともに過ごす時間が長かった。「巡業中は食事もほとんど一緒に行ってました。その時はよく『こういうふうにした方がいいんじゃないか?』みたいにアドバイスをしました。真っすぐにプロレスを吸収しようとしてたんで…」と思い出を明かす。

 会話の中でも長尾さんの全日本プロレスへの〝愛情〟を感じることが多々あった。「一大心は、夢を見て北海道から出てきた。だから、ここは夢のあるリングであり続けなきゃいけないなって思うんです。一大心が一生懸命、やってた場所だから」と自身に言い聞かせるように力を込める。

「そういう場所を守らなきゃいけないし、みんなで語り合ったりしていきたいです」。後輩の無念を背負ったエースが、王道マットをさらなる高みに導く。