【取材の裏側 現場ノート】「道がない所に道をつくる」。先週終了した神取忍の連載で最も印象に残った言葉だ。
柔道日本一、世界選手権銅メダリストの肩書を引っ提げプロレス入り。ジャパン女子入り後にフリー契約を結び、現役女子が運営する女子団体LLPWを旗揚げ。女子総合格闘技大会「L-1」の開催に男子選手との対戦…。いずれも前人未到のものばかりだ。「全女(全日本女子プロレス)の王道歩いたって仕方ないじゃん」と語る姿はゆるぎない。反骨心と行動力でつくり上げた道を、今では後輩たちが当たり前のように歩んでいる。
先見の明にも恵まれた。時代を先取りした「L-1」は観客動員で苦しみ、多くの借金を抱えたと笑う。「いつも『早すぎるんだよ』って言われるんだよ。女子の格闘技は今では普通になったけどね。ただ、興行そのものを変えてきた自負もあるから、充実感はあった。困難だとは思っていないんだ。ワクワクしてるんだろうな」。逆境を楽しむ力も備わっていた。
校内暴力が吹き荒れる時代に青春を過ごしたが、大きく道を外れなかった。理由を問うと母・方子(まさこ)さんのエピソードが返ってきた。「母親は今もそうだけど、ほめ上手なの。影響あるのかも。絶対、否定はせずに『お前はできるから』『幸せになれるよ』って。そういう言葉が自分を守ってくれているのかもしれないね」と明かす。
「だからさ、イライラすることもあるだろうけど、子供を叱りすぎちゃだめだよ。シュンとしちゃうじゃん」。母の言霊(ことだま)に守られるレジェンドの金言を胸に刻みつつ、ミスター女子プロレスの今後に注目していきたい。(運動部・中村亜希子)












