【女子プロレス最強レスラーの告白 神取忍 お前の心を折ってやる(26)】2000年7月2日、LLPWディファ有明大会で、天龍源一郎さんとついにシングルで戦う時がやってきた。試合形式は1ラウンド(R)3分の無制限ラウンド。もう入場の時からオーラが違った。さすがはジャイアント馬場さんとアントニオ猪木さんの両方に勝った人だよ。
対戦を天龍さんに申し入れた際の「どうなるか分かっているな?」という言葉通り、ゴングが鳴ると、天龍さんにタックルから馬乗りで顔面に10発以上の張り手を浴びた。こちらも顔面への張り手、ローキック、一本背負いなどで応酬したが劣勢に立たされる。キックやラリアート2発、さらに馬乗りで顔面パンチの連打を受けた。ふらついても立ち向かったが、2R2分11秒、セコンドのハーレー斉藤がタオルを投入した。
試合が終わると、LLPWの選手たちは泣いていたってね。もっと早くレフェリーが試合を止めたり、タオルを投入すべきという声もあったようだけど、みんなこういう場面を見たことがないんだ。だから恐怖というか、気が動転しちゃってたと思う。自分で「タオルを投げるな」と言ったかって? それどころじゃないよね。
後に天龍さんと対談をさせてもらった時に知ったのだけど、私を殴り続けたのはバッティングで流血させようとしたからだって。そうなれば、さすがにみんなも試合を止めるだろうから。あのパンチには天龍さんの親心があったんだよ。でも、殴られても殴られても、血が出やしない。何度も大流血の試合をやっているのに、あの時はなぜか頑丈だったんだ。
戦いを終えた自分の顔を見てびっくりしたよ。顔が信じられないくらいに腫れてしまって、目が開かないんだから。指でまぶたを上下に開いて「あ、見えた、見えた」という感じ。しかも頭も腫れた。会場に来た時にかぶってた帽子が入らないの。驚いたよね。
もう一つ仰天した話があってね。試合後、控室で天龍さんに「神ちゃん、生卵で(腫れた目の上を)ゴロゴロしておけ」って言われたんだ。それで、本当に生卵をゴロゴロしていたら、白い卵が見る見る紫色になっていくの。多分熱を取りながら、軽い圧をかけるから血を流すのかもしれない。昔ながらの相撲界の知恵なのかな。「なにこれ? この卵、後で食べていいのかな?」とか、話していたんだよ。
実際に、腫れも早く引いたんだよね。不思議だよね。ちゃんと病院に行って、検査を受けて眼球や骨には異常なし。「当面は安静」と言われたんだけど、ファンや関係者からは「大丈夫なのか!」と問い合わせが相次いだ。それほどのインパクトがあったんだ。
この天龍さんとの試合にはもう一つ、忘れられない後日談があるんだ。












