【女子プロレス最強レスラーの告白 神取忍 お前の心を折ってやる(33)】この連載も今回を含めて残り2回。やはり、風間ルミについてはお話ししたいよね。ジャパン女子プロレスの同期でLLPWを旗揚げした同志。2021年9月、55歳で天国へと旅立ってしまった。

 風間はずっと体調が良くなくて、当時はスタッフが食事を届けていたんだ。ある日、体調があまりに悪そうだからスタッフが救急車を呼ぼうとしたんだけど、風間は大の病院嫌い、注射嫌い。「病院に行きたくない」ということで呼べなかった。結局、そのまま連絡が取れなくなって。心配したスタッフとお世話になっている人、管理会社が部屋に入って風間を発見した。

 私が対面できたのは警察で。横たわる風間を見て言葉がなかった。「うそだろ」って。映画のワンシーンみたいな感じ。そこからは放心状態。泣いても泣いても泣き切れなかった。

旗揚げ戦でウエディングドレス姿の風間ルミ(92年8月)
旗揚げ戦でウエディングドレス姿の風間ルミ(92年8月)

 風間はLLPWを旗揚げする時「プロレスと結婚する」とウエディングドレスを着たくらい、プロレス、選手のことを考え続けてきた。だから引退後は「自分の好きなことをやりたい」とLLPWとは別の会社をつくっていた。でも交流は続いていたんだ。子宮内膜症を患っていて、会うたび「病院に行って」と言ったけど「薬飲めば治るから」と。自分も含めて、みんななぜ無理にでも病院に連れていかなかったのか、救急車を呼ばなかったのか、悔いが残っている。

 ジャパン女子で出会ったころは酒を飲んでいつもケンカしていた。風間は泣いてもいじけずに次に向かう立ち直りの早さ、くじけても前向きになる負けん気の強さがあった。LLPW旗揚げ時の社長。突き進む力に加え「あの人のために何かしてあげたい」と思わせるオーラがあった。2つのタイプのリーダーシップを持っていた。

 何より風間の功労は153センチという身長でもプロレスができるということを世に知らしめたこと。昔は160センチ以下は規定外だったからね。自らそれを壊した。今はたくさんの小柄な子たちがプロレスをやっているけど、その道をつくった。功労賞(※)ものだよ。小柄な男子選手も勇気づけられたと思う。

 LLPW旗揚げメンバーでは、ハーレー斉藤も16年12月に48歳でこの世を去った。ハーレーは本当に理解者だった。私は言葉が足りなくて「通訳が必要な話し方をする」って言われるんだけど、こちらの意図をくみ取って理路整然と説明してくれるのがハーレーだった。風間とは違ったフォローの仕方で選手たちを支えてくれた。

 風間やハーレーの分も頑張らないとね。倒れても起き上がらないと。やっぱりLLPW伝説をつくっていきたい。みんなの記憶に残さないといけない。そう思っている。

 ※ 東京スポーツ新聞社制定「2021年度プロレス大賞」で功労賞が贈られた。