【女子プロレス最強レスラーの告白 神取忍 お前の心を折ってやる(28)】「神取忍で印象深い試合」を人々に聞くと、北斗晶との激突や天龍源一郎さんとの顔面変形マッチ、ジャッキー佐藤さんとの因縁試合と返ってくる。でも、全日本女子プロレスの選手より全体の試合数は少ないけど、量より質でいろんな選手と試合しているんだ。
井上京子とは対抗戦時代の1993年8月、女子プロオールスター第3戦「武道館女王列伝」で戦った。全女の京子対LLPWの私。京子は自分とは全く違うタイプ。柔軟性があって、自分も楽しみながらお客さんも楽しませようとする姿勢にあふれている。実は、試合が決まったら「水と油」「絶対に合わない」と言われたんだ。当時の東スポも「殺気(神取)と陽気(京子)と全く異なるムードを放つ2人が個性をぶつけ合った」と書いていた。
試合では、こちらは腕やアキレス腱を関節技で攻めまくった。京子もつり天井やジャイアントスイングを繰り出してね。最後は17分44秒、腹固めで勝利した。終わってみれば、前評判を覆して結局「ベストマッチ」って言われたんだ。自慢じゃないけど、結構器用なところもあるんだよ。
全女といえば、実は「赤いベルト」で知られるWWWA世界シングル王座も戴冠しているんだ。98年3月、私が持つLLPWシングル王座と堀田祐美子が持つWWWAの至宝をかけて対戦。三角絞めで勝利して、2冠王になった。堀田君とは30年間ケンカしながら、ライバルとして何かをつくり上げていく、ある意味仲間。「L―1」「RIZIN」といった総合格闘技の分野でも、ともに頑張った。
同年8月には全女の川崎大会で豊田真奈美を相手に2度目の防衛戦にも臨んだ。これも周囲から「合わない」と言われたけど、評判はいいんだよ。自画自賛だけどね。豊田も、自分とはまったく違うタイプで逆にやりやすかった。京子と似ているようだけど、豊田のほうが自分の技にこだわって楽しませる感じ。かみ合ったら面白い試合になると思っていたんだ。
4350人の大観衆が来ていて、豊田を応援するファンの大歓声が響いていたね。でもさ、豊田が繰り出す技をしのいで、今までにやったことないローリング・クレイドル(回転揺りイス固め)やラ・マヒストラルで反撃した。最後は豊田の日本海式竜巻固めを空中で切り返して、左ヒジと左ヒザを決める変型ヒザ十字固めで、ベルトを防衛した。
他団体の選手と戦う時、とにかくLLPWの名前を上げていきたいという思いが強かった。当時は強くて個性的なメンバーに恵まれたよね。流血沙汰の試合もブル中野戦だけじゃなく工藤めぐみやダンプ松本さんともやっているんだよ。次回に振り返りたい。













