【女子プロレス最強レスラーの告白 神取忍 お前の心を折ってやる(31)】男女問わず、いろいろな強豪と対戦を望み、かなえてきたけど、思うように行かない試合もあった。女子総合格闘技「L―1」でボクシングの元世界ヘビー級王者モハメド・アリの娘、レイラ・アリとの対戦を希望した。2000年の第3回大会にレイラを招待し、観戦する前で堀田祐美子戦に勝利。対戦をアピールした。レイラは「ボクシングルールならやってもいい」との答えだった。
当時レイラは米国でも注目を集めていて、闘争本能で「これはやりたい」と思った。ただ高額なギャラやルール問題でなかなか進まない。こちらはボクシングルールでも戦うつもりだった。本気だよ。練習していたし、柔道家って奥襟だの袖を取るために腕を取ったり手を出すから、意外と合っているんだ。ただ、粘ったけれど、01年の米同時多発テロで向こうの事務所が移転したりで、交渉が立ち消えになってしまった。
時を経て、新しい獲物も見つかった。16年、女子総合格闘技が定番となっていたRIZINで、ギャビ・ガルシア(ブラジル)がリングを席巻していた。「怪女」「猛女」と言われてね。するとRIZIN側から「一度会いたいです」と連絡があってギャビとの対戦が降って湧いてきた。
9月のさいたま大会でギャビの試合を見に行った。勝てると思ったね。弱点を見つけたかって? 腹をくくって一歩出られるかどうか。それがヒントだな。経験が違うんだよ。これならいけるっていう一瞬の動きがあったんだ。勝負って、勝つコツがあって、それをつかめば絶対いける。「もちろんやってやるよ」と決断した。
その一方で年齢が問題視された。52歳で試合を迎える。米国など海外では、その年齢で総合格闘技の試合をやるのは基本的に禁止なんだそうだ。日本での試合とはいえ、年齢がネックとなり、頭から体の隅々まで細かくメディカルチェックをして、やっとゴーサインが出た。ところが、大会目前の12月16日、練習中に胸を強打。2本の肋骨骨折が判明し、最低でも1か月の安静が必要と診断された。
かなりハードな練習を積んでいて、寝技をやっているところでドンッと入られてね。「出場する」と言い張ったけど、肋骨は折れていると肺や内臓に刺さるリスクがあるからダメだとドクターストップ。欠場を発表。会見では涙が出た。
代わりに堀田選手が出てくれることになった。ギャビ相手に、十分な練習時間もない中、引き受けてくれた堀田選手に感謝したよ。試合はTKO負け。「こんな結果ですみません。敵を取ってもらいたい」と頭を下げる姿を見て「この敵は絶対取る」と思った。それなのにギャビはとんでもない野郎だった。













