【女子プロレス最強レスラーの告白 神取忍 お前の心を折ってやる(32)】2016年大みそか。「RIZIN」で怪女ギャビ・ガルシア(ブラジル)と対戦する予定が、直前で肋骨2本を骨折してしまい、欠場となった。絶対にこのままでは終われない。次のチャンスを待つと、17年12月に再戦が決定。16年大会で急な代役として出場し負けた堀田祐美子選手の敵を取るためにも、猛練習を積んだ。
まるで新人のころのようだったよ。極端に言えば朝から晩まで、午前午後と練習した。高阪剛さんのところでトレーニングを積んだ。だけど、高阪さんからは「52歳なのに練習量が異常。オーバーワークになってしまう」と注意されてね。でも「関係ない」って練習をやるわけ。こっちは人生かけてんだよって。誰かに言われてやるわけじゃない。自分が望んでやるんだとね。
トレーナーが組む練習以外にも自分で立てたメニューをこなした。柔道時代のように走り込むのはヒザが良くないのでできない。代わりに自転車とサーキットをやって、3分こいで、何セットもやって脈を測ってってのをやるわけよ。柔道で世界チャンピオンを目指していたころのようにね。ジムではスパーリングで息を上げて。
記者会見でにらみ合い、前日計量に臨んだ。その日、知った。控室で、どうやらギャビが体重をオーバーしているという情報が回ってきたんだ。でもさすがに2、3キロだと思って「まあいいや」と気に留めていなかった。契約体重は95キロ。私は73.75キロで余裕のクリア。続いたギャビは107.7キロと契約を12.7キロも超えていた。
怒りがこみ上げてきたよ。「お前、人としてどうなんだよ! なんだよ、ふざけんなよ! ふざけんな! なんだよ、これ! ルールありきのもんだろう!」と思わず叫んでいた。ギャビの顔を見てますますはらわたが煮えくり返ってきた。あの悪気がない顔はなんなんだろう。「ルールはどうなってんだよ!? ふざけんな、こっちは人生かけてきてるんだよ!」。やっぱりさ、走馬灯のように苦しい練習思い出すわけじゃん。とにかく悔しくて。そのまま会場を後にした。
結局、その後に試合には至っていない。あいつは本当におかしいやつだよ。周囲は「神取が不利」とか「無理だ」とかって言ってたけどさ、負けると思ったら戦わないし、絶対勝てると思っていたんだよ。またやるかって? あいつがやれるもんならやってやるよ。
アリもギャビも試合が実現していたら面白かっただろうけどさ。「世の中にはできないこともあるんだぜ」っていうメッセージは伝わるよね。願いがかなう喜びもあれば、かなわない時もある。割り切らないとやってられない。前に進めないよ。













