【女子プロレス最強レスラーの告白 神取忍 お前の心を折ってやる(最終回)】この連載もついに最終回を迎えた。これまでの人生を振り返ると、ずっと「道がない所に、道をつくる」という言葉を大切にしてきた。

還暦を迎えても現役(25年8月)
還暦を迎えても現役(25年8月)

 この言葉は1992年にLLPWを旗揚げする時、道場もない、スポンサーもいないと、しょぼくれていた私に、ある支援者が食事をしながら話してくれたメッセージ。「とにかく笑って吹っ飛ばさないとダメだよ」「道がないなら道をつくればいいんだよ」とね。還暦を迎えても、今でもこの言葉が生きている。

 時代がこれだけ変化して、誰もが経験していないことばかり。経験なんてムダになってしまう今、大事なのは柔軟性を持ち、時代を読んで波に乗れるかどうか。流れを見誤らないこと。「自分はこうじゃなきゃ」という思い込みに邪魔されることなく、いずれは東京ドーム大会を開催するぐらいの勢いを持っていきたいね。

 プロレス以外で新しいことにもチャレンジしている。静岡・清水町に「カンドリーファーム」を造ったんだ。もともとお米が大好き。それに神社仏閣が好きなんだけど、お米をお供えしてきたように、日本人はお米を大切にしないといけないというのを覚えていて。インタビューなどでは、ずっと「自分でおいしいお米を作りたい」と話していたんだ。

 たまたま清水町に縁ができて、現地を見に行ったら田んぼがあってお水もいいし、町の人たちもとても優しい。「ここで作ろう」と活動を始めた。いきなり稲作は難しいから、数年前から草刈り、サツマイモ作りとコツコツ農業を勉強してね。今年やっとお米作りに入っている。毎日天気が気になって仕方がないよ。

 どういうわけか、私は日本の良さを継承したい、という方向に自然と体が向くんだ。今年は「伝統文化とプロレスの融合」をテーマに神田明神ホール大会を定期開催している。試合の合間に獅子舞や和太鼓が登場して、なかなか好評なんだよ。「パワースポットになっている」という声もあるくらい。今後は食のコラボや韓国など海外進出にも動いていきたい。

 そもそも「女子プロレス」が日本文化だと胸を張ってもいいと思う。女子プロレスは海外にもある。女子だけの団体もあるみたいだけど、メジャーなところ、例えばWWEだと男子の中で女子の試合が組み込まれている形も多い。でも日本は違う。古くは全日本女子プロレスが旋風を巻き起こした。私たちが旗揚げしたLLPWは運営も選手もすべて女子だけという画期的な団体。現代も女子プロレスがここまで浸透しているのは日本しかないんじゃないかな。

 女子プロレス=日本文化として継承し、さらに発展させていく。使命を胸に、これからも道をつくっていきたい。(終わり)