MLBの〝ネクスト・ジャパニーズ〟はこの男が大本命となりそうだ。日本ハム・伊藤大海投手(27)を巡り、複数の米メジャー球団が今オフの獲得に向けて慌ただしく動き始めているという。11日のオリックス戦(エスコン)は今季ワーストとなる12安打を浴び、6回6失点と振るわず今季5敗目(9勝)。パ首位のチームは0―6と大敗し、自身も両リーグ最速10勝こそ逃したものの、MLBからの高い評価は何ら変わらない。水面下でひそかに伊藤争奪戦が勃発している理由とは――。
この日の伊藤は、まるで別人のような投球だった。初回から長短打3本を集められて先制を許すと、5回まで3失点。6回には宗に右翼への3ランを被弾し、試合を決められた。
試合後は「ボールの質も良くなかった。修正したいなと思う」と前を向きながらも、さすがに終始悔しげな表情。6月13日以来となる自身4試合ぶりの黒星(5敗目)を喫したが、それでもMLBの複数球団からは熱烈なラブコールを送られ続けており、その格付けも依然としてトップランクのままだ。
2020年のドラフトで1位指名を受け、日本ハムへ入団した北海道出身右腕は今やファイターズのエースとして君臨。昨季14勝5敗でリーグ最多勝と最高勝率の2冠に輝き、プロ5年目の今季も開幕直後から好調モードをキープしている。4月1日の本拠地開幕戦こそソフトバンク相手に黒星を喫したものの、登板2戦目以降は安定感抜群の投球で5連勝を飾った。
その後も着々と白星を重ね4日の楽天戦(エスコン)では軽い脱水症状に見舞われながらも5回を投げ、9勝目をマーク。この日こそプロ通算4度目、2年連続となる2桁勝利には届かなかったとはいえ、9勝は11日現在でも堂々の両リーグ単独トップだ。
そんな日本を代表する投手に成長しつつある右腕だけに、ここにきて米メジャーのスカウトもポスティングシステムでの獲得に向け「本腰」になっている。6月以降は伊藤の登板日に合わせ、相次いで視察に訪れるなど舞台裏でスカウティング合戦が本格化している。実際、この日の先発登板にもMLB関係者がスタンドから伊藤の一挙手一投足に熱い視線を送っていた。
昨オフに「日本人ナンバー1投手」と評されていた佐々木朗希投手(23=当時ロッテ)が鳴り物入りでドジャースに入団。だが、そんな怪物右腕が米球界入り後に精彩を欠いている実情もあり、MLB各球団の今オフの「日本人狙い」は投手ではなく村上宗隆内野手(25=ヤクルト)や岡本和真内野手(29=巨人)ら野手陣とみられていた。
ところが、ここにきて投手の伊藤がメジャーから次の日本人メジャーリーガーの「大本命」として急浮上。背景には実績とともに数々の〝隠れた長所〟も持ち合わせているからに他ならない。
伊藤はチームで先発の柱だが、2023年の第5回WBCでは救援陣の一角として侍ジャパンの世界一にも貢献。MLB関係者からも「国際試合での適性に加え、日本人が苦手とされる『滑る』メジャー球の扱いも何ら苦にしない。WBCでは威力ある直球と多彩な変化球を操り、適応力の高さを見せつけていた。さらに強心臓で大きな故障もない」と絶賛の声が上がっている。
しかも所属する日本ハムは、選手の米移籍を後押しする球団。かつてパドレスのダルビッシュ有投手(38)、ドジャースの大谷翔平投手(31)が生え抜きとして活躍した古巣球団で文句なしのエースに君臨する伊藤の存在は、MLBでも「ブランド価値」をぐんぐん高めている。現在の年俸2億2000万円(推定)も米球界では「破格の安さ」と言える。こうした諸事情も獲得を狙うメジャー球団には魅力的に映っているようだ。
前回のWBC期間中も、すでに米メディアやMLB関係者から「ヒロミ・イトウは、いつ海を渡ってくるのか」という質問が方々で飛び交っていた。その答えが「今オフ」となる可能性は徐々に高まってきている。












