勝負に敗れたものの、今季のベストピッチと言える投球内容だった。広島・森下暢仁投手(27)が4日の巨人戦(東京ドーム)で8回5安打1失点。チームは0―1で敗れ、自身も完投しながら今季8敗目を喫した。  
 1球に泣いたのは8回一死。それまでスコアレスの投げ合いを演じていた相手先発・山崎伊の代打・キャベッジへの3球目だった。この日の109球目となった内角高め147キロを右翼席に運ばれ、痛恨の決勝ソロを被弾。試合後には「あの回に点が入ってしまったということだけ」と口にし、悔しさをにじませた。
 
 とはいえ今季15試合目の先発マウンドでは、これまでにはない手応えをつかんだ。「今日みたいな組み立てができたら」と振り返ったのが、女房役の坂倉と意思疎通をはかりながら投げた全113球の内容。最速150キロの直球を主体にしながら110キロ台のカーブ、130キロ台のチェンジアップを軸に緩急もつけ、G打線を相手にゲームメークできた点だ。

 カットボール、スライダーなど横変化の球種にも定評がある一方、今季の森下は「縦」の変化球向上を目指している。今季は縦に割れるカーブの割合が増加。この理由を森下は「やっぱりチェンジアップだけだったら(打者に)待たれることもある。そこにカーブで(タイミングを)ずらせたりとかもできている」と語る。

 同球種のストライク率は昨季の42%から49%まで向上。変化球の投球比率においては昨年、最も多く投げたカットボールは今季約5%減、一方でカーブは約4%、チェンジアップも約3%近く増え、変化球の投球比率が「横」から「縦」へとシフトチェンジ。森下は「それによって直球がまた生きてくると思って。カーブだけなく、チェンジアップとか沈んだりする球もより有効的になる」と、その狙いについて力説する。
 
 信頼度が増したカーブとともに最近では交流戦で投げ合った楽天・早川や阪神・村上などを参考に、これまでの握りとは異なるチェンジアップの改良にも意欲を示している。

 開幕からカード初戦の先発を守り抜く一方で、負けが3つ先行する成績は本人も納得していない。4日は敗戦投手となったものの、追求してきた「縦変化」には一定の成果を得た。今後の盛り返しへ向け、きっかけとしたい。