オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第245回は「カンコロ」だ。
「カンコロ」は音の妖怪である。まるで、風によって缶が転がるような音を立てる。しかし、姿は何も見えない。「カン、カン、カン」という音のみが聞こえるのである。
この妖怪の“耳撃者”によると、深夜のコンビニのバイトで外回りの掃除をしていた時、缶が転がるような音を聞いた。あまりに不気味に思ったので、駐車場の掃除はそこそこに店内での業務に切り替えた。
深夜3時、バイトのシフトが終わり、自転車で帰宅途中、背後から近づいてくる缶の転がるような音に気がついた。焦りながらも、慎重に自転車を動かして、どうにか自宅までたどり着いた。
すると、まだあの音がする。まだ起きていた兄に伝えたが、笑われてしまった。結局、足をケガして、あまりにも不吉なので、翌日神社にお祓いに行った。
後日、兄に正直に告白したところ、実は兄も「カン、カン、カン」という音を聞いていた。今でも、1年に1回ぐらいは音が聞こえるという。
この缶を転がすような音に関しては、霊感風水師のあーりん女史が同じような発言をしている。女史が子供の頃、住んでいたマンションの屋上を缶が転がるような音がよくしていたという。右に行ったり、左に転がったり、その音を聞きながらあーりん女史は「妖怪・缶ころがし」という存在を連想してしまった。
音の妖怪というものは、よく見られる。妖怪の本質そのものが音なのかもしれない。
例えば、城の堀で貝を吹くような音を立てる「貝吹き坊」、廃寺で鐘を鳴らす「野寺坊」、海上でジャーンという大きな音が聞こえる「ジャン」、山や街中で、突然太鼓の音が鳴り響く「虚空太鼓」など、類例を挙げればキリがない。












