オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第244回は「ミノムシ先生」だ。

 幼稚園時代、昆虫図鑑などを愛読している物知りな子供がいた。あだ名は、文字通り「物知り博士」と呼ばれていた。

 この子供は、いじめに遭っていたこともあったのだが、他の子供と遊ぶよりも一人遊びが好きであった。そんな子供が“先生”と仰ぐ存在がいた。

 その子供より2歳年上で、その先生は「ドラえもん」ののび太のようなメガネをかけており、物知り博士の子供よりも昆虫や小動物に詳しかった。

 やがて、その先生は親の転勤で引っ越した。成人した後、物知り博士と呼ばれた子供が、母親に「あのミノムシ先生って呼ばれていた子供、元気にしているのかなあ」とつぶやいた。

 その発言を聞いた母親は「あんた、まだそんなこと言ってるの。ミノムシ先生なんか存在しないのよ。一緒に遊んでると聞いて、見に行ったら一人で遊んでたじゃない」と妙な顔をした。

 ミノムシ先生は、存在していなかったのだ。

 子供が自分しか感知できない存在を連想することは多い。心理学におけるイマジナリーフレンドという現象である。イマジナリーフレンド以外にも、学術的にイマジナリーコンパニオンとも呼ばれている。

 他にタルパという存在がある。これはイマジナリーフレンドと似た存在であるが、積極的に自分の意識で作り上げる実体のない存在であり、架空の存在というのは自分自身で分かっている。