オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第239回は「渦潮幽霊」だ。

 私・山口敏太郎の生まれ故郷である徳島県には、奇妙な伝説が残されている。観光地としても有名な「鳴門の渦潮」というパワースポットがある。巨大な渦が巻いている場所ではあるが、同地には昭和時代から不思議な話がささやかれている。

 この渦潮を近くで楽しむために、観光船が用意されている。その船で渦の近くまで接近すると、1人の女性が浮き沈みしているのが見えるという。しかも、その女性は悲しげにささやくそうだ。「助けて、助けて」

 このささやき声を聞いた人は、恐怖で全身が凍りつくという。

 この女性は、自殺をしようとして身投げをしたとも、事故で船から落下し渦潮に巻き込まれた女性だともいわれている。
 昭和の頃は、さかんにウワサにのぼった幽霊だが、平成以降はあまり聞かれることはない。成仏したのであろうか。

 なお、渦潮そのものに幽霊が映り込むことがあるという話もあり、巨大な渦潮に巨大な女の顔が映り込むことがあるといわれている。しかし、これが昭和の頃、ウワサに上った「渦潮幽霊」と同一人物なのかどうかは不明だ。

 また、渦潮が見えるドライブインとして有名だった廃墟が付近にあるが、ここは全国有数の心霊スポットとして有名である。かつてタレントの稲川淳二氏が訪問し、地下空間で霊に憑依され、身動きが取れなくなるという事態に陥ったことがある。同地では、赤い服を着た女が、訪問者に対し、だんだんと迫ってくると言われている。

 さらに、鳴門近海で目撃された幽霊としては、徳島県と大阪府をつなぐフェリーの最終便に乗っている女幽霊が有名である。これなども自殺者の霊であろうか。