オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第237回は「片腕じじい」だ。
千葉県市川市に現れた妖怪である。空中から巨大な片腕が伸びてきて、子供を天空までさらってしまうという。
それにしても、姿が見えないのにじじいと断言しているのには、いささか無理がある。腕がよほど気味が悪いのだろうか。とにかくじじいということになっている。
もともと、日本には鬼が人間をわしづかみにして、空中までさらってしまうという伝承があった。この妖怪は、平安時代、渡辺綱(わたなべのつな)が茨木童子によって馬に乗った状態でわしづかみにされ、空中に引っ張り上げられたが、名刀・髭切(ひげきり)で鬼の腕を切って難を逃れたという伝説がモチーフになっているのではないだろうか。
腕という形態で出没するといえば、妖怪「細手長手」が挙げられる。座敷わらしの一種とされ、吉凶禍福の前兆現象だと言われている。
ある男が東北の民家に泊まった時に、この細長い手の妖怪に手招きされてしまった。その時は何ごともなかったが、その後、津波がやってきて、その家は跡形もなく流されてしまったと言われる。
他には「細手の手」と呼ばれる怪異も伝承されている。この妖怪は古い着物に宿り、前の所有者が非業の死を遂げた場合、細い手を伸ばして自己主張すると言われた。着物には、人間の念というものがこもりやすい。実際に現代でも、この妖怪を見たと主張する人が存在する。
また少し違うが、「足洗い屋敷」も体の一部分が姿を現すという点で似ている。これは、タヌキのイタズラとされている。夜になると、巨大な毛むくじゃらの足が伸びてくる。これを洗わないで放っておくと大暴れをする。出てきた場合は、素直に洗ってやるとおとなしく引っ込むそうだ。












