オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第233回は「餓鬼魂」だ。

「餓鬼魂」と書いて「がきたま」と読む。飢えて死んだ人の魂が餓鬼となって出没することを指す。ビー玉ほどの大きさであり、青白い火の玉として現れる。やがて、餓鬼の姿に変化して、食べ物に食らいつくといわれている。

 仏教において「施餓鬼」という法要があるが、これは飢えて死んだために、餓鬼道に落ちた人を救うために行うものだ。普通、施餓鬼に使った食べ物は跡形も残らないとされている。

 なお、中には共食いをするものがいて、仲間の肉を食って、特別に大きくなってしまい、体の色も黒色になる。その黒いものは「はぐれ」と呼ばれており、これは通常の餓鬼とは違い、なかなか成仏しない。

 餓鬼は、目をつけた人間を食べるといわれているが、一部の報告によると、病気になってしまった人間の内臓を食べてしまうという。この場合、食われた人間は健康体になるといわれている。

 通常の餓鬼は、数回にわたって施餓鬼を行えば、大きさが小さくなって消えてしまうが、この「はぐれ」はなかなか消えない。仏教においては、対処法があるらしいが、詳しいことは分からない。

 このような餓鬼を描いた絵巻「餓鬼草紙」は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて、盛んに作製された。この草紙には、食火餓鬼、塚間餓鬼、欲色餓鬼、伺嬰児餓鬼、食吐餓鬼、食水餓鬼、羅刹餓鬼、疾行餓鬼、曠野餓鬼など、たくさんの種類の餓鬼が描かれている。