オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第235回は「アシカおじさん」だ。
沖縄の砂浜に出たと言われる異形の存在である。一見、アシカだが、その背中が割れると中から色の白いおじさんが出てくる。そのおじさんは、温厚な感じがして、芸人の板尾創路に似ていた。
砂浜で遊んでいた少年が夕暮れ時に、波打ち際にたどり着いている1頭のアシカを目撃した。野生のアシカは珍しいと思って見ていると、中から色の白いおじさんが出てきた。おじさんは、たどたどしい日本語で「お話をしよう」と話し掛けてきた。声は若干エコーがかかっているような感じである。
話してみると、おじさんはもともと遠いところに住んでいた。家族とはやむを得ない理由があって離れ離れになってしまったという。
そこまで言うと、おじさんはしくしくと泣き始めた。最後に少年は、キラキラと光る宝石をもらった。「これはもともと人間が海の中で落としたものだから、君に返す」とおじさんは言った。
果たしてこのおじさんは何者であろうか? 板尾創路に似ていたというが、テレビの企画か何かでアザラシの中におじさんがいるというコンセプトは、いかにも芸人さんが考えそうである。
アシカというのは、妖怪のモチーフになりやすい。佐渡島で伝承されている妖怪で「海かぶろ」という存在がある。海辺に出る妖怪でかぶろ頭が特徴的である。たびたび人間をたぶらかしたと言われている。
また、江戸時代に名古屋の熱田に現れた妖怪の図が残されているが、どう見ても、アシカかアザラシである。












