米国・ワイオミング州を中心に棲息すると言われるジャッカロープ(ツノウサギ)はウサギの身体に、カモシカあるいはシカの角を頭部に持ち、場合によってはキジの尾か、キジの後ろ足を持つと言われている。
また、未発見の未確認動物であるとも、“ウサギとシカの合いの子”、具体的に述べるとピグミーシカとキラーラビットの雑種とも言われている。
あるいは、とっくに絶滅した古代の絶滅動物の生き残りという説もある。
もっとも論理的な仮説は、ウサギ乳頭腫ウイルスに感染し、角型のイボが頭から生えたウサギであるというものである。
なぜか、先住民=ネイティブ・アメリカンの伝承には登場せず、入植してきた白人によって目撃されるようになった。
また、仲間同士、角を使って、ともに闘うことから“戦士のウサギ”とも呼ばれる。
このジャッカロープという言葉は、野兎を意味するジャックラビットとレイヨウを意味するアンテロープの混成から生まれた。
似た仲間も各国に生息しており、ドイツではボルパーディンガーと呼ばれ、スウェーデンではスクヴェイダーと呼ばれている。
日本でも「角兎」という概念はあるが、「亀毛兎角(きもうとかく)」と呼ばれ、あり得ないことの例えとして使用された。
ジャッカロープは、カウボーイのキャンプファイヤーの際に現れ、カウボーイの歌に合わせて一緒に人間の歌まねをしたという。あまりにかわいいので捕まえようとすると、逃げ足が早くまったく捕まらない。
こういう場合は、ウイスキーを皿やコップに入れておき、ウイスキー好きのジャッカロープがなめてしまい泥酔したところを捕獲すれば良いとされる。
このウサギの乳は万能薬となるとも、強力な媚薬であるとも言われており、肉がロブスターに似た味を持っているらしい。
ダグラス・ヘリックという人物は、このジャッカロープ普及の貢献者である。
1930年代にダグラスと弟ラルフは、ジャッカロープヘッドとポストカードの販売を開始し、人気の土産物となり、現在でも全米各地のバーでポストカードのトロフィーを見かける。
このダグラス・ヘリックは2003年1月6日に82歳で死亡したが、今でもポストカードの父のように言われる。
また、05年、ワイオミング州議会は投票によって、ジャッカロープをワイオミング州の“伝説の生き物”と認定する宣言を行った。