未確認生物といえば、基本は山や森の奥深くや湖の底、大海原など、人間がおいそれと手を出せないような場所に生息しているのがほとんどだ。しかし、今回紹介するUMAは都会のど真ん中で目撃された非常に珍しいケースである。

 現場はなんと日本、それも1日40万人以上(当時)が利用する東京の玄関口、東京駅で目撃されたのである。

 1975年2月10日のこと、東京駅の八重洲北口付近の地下道を歩いていた大学生の目の前に、急に天井から2枚の板が落ちてきた。もし激突していたならば大ケガはまぬかれない。驚いた大学生が慌てて落ちてきた先を見上げると、天井のぽっかり開いた屋根裏の黒い空間に、真っ黒い小動物が3匹うごめいているのが見えたのである。大きさは約1メートルほどの小動物でサルに似ており、天井裏にある梁ないしは配管のような物にぶら下がっていたように見えたという。仮に「東京駅八重洲口の屋根裏ザル」とでも名づけておこうか。

森狙仙「梅花猿猴図」
森狙仙「梅花猿猴図」

 1975年当時、現場付近にあったコーヒーショップの店長は2か月ぐらい前から奇妙な動物の声がしたと証言しており、東京駅サイドも天井裏にすまう怪生物の解明に乗り出した。

 その結果、天井板の落下は配管工の作業員が屋根裏での作業中に誤って落下させてしまったものであり、大学生が見た動物に似た何かは、天井裏に引っかかっていたゴミだったという結論が出された。

 しかし、ただのゴミが生き物のように見えるだろうか。動いていたことから、配管工をサルと誤認したという説もあるが、人間とサルでは大きさがかなり違うため、それも考えづらい。

 現代でもたまに、都市部に野生動物が逃げてきてしまって大捕物となるニュースが報道されるが、もしかしたらこの生物も山から駅の屋根裏に入り込んでしまった野生のサルなのかもしれない。

 またはペットとして飼われていたサルが駅の屋根裏にすみ着いた可能性もある。

 一方で、昔から日本人は暗闇にひそかにすむ小さな存在を妖怪として認識していた。たとえば、家をきしませる「家鳴(やなり)」や黒い毛むくじゃらの「毛羽毛現(けうけげん)」などだ。

 もしかしたら、大学生が目撃したのは人知れず、地下街の屋根裏に隠れ住んでいた妖怪の姿だったのかもしれない。