【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#587】2024年夏、頭に鹿のようなツノが生えた女子高生が登場する学園コメディーアニメが、その中毒性ある主題歌と共に話題となり、鹿を全面的にフューチャーした〝謎の鹿アニメ〟として、多大なインパクトを残した。

 当の少女は自らを鹿と主張するもツノは取り外しが可能、鹿として生活を送るものの見た目は人間そのものだ。鹿のようで鹿ではない。そんなフレーズが似合うが、実は近年まさにこのフレーズに合致するかのような奇妙な鹿にまつわる目撃があることをご存じだろうか。

「ノット・ディア」とは、北米のアパラチア山脈に生息していると言われている未確認生物だ。直訳すると「鹿にあらず」といったところだろうか、その名のとおり、一見すると鹿のように見えるが、よく観察してみるとそれが鹿ではないという不可解な特徴を持つ生物だ。

 ノット・ディアは、その動きが生まれたばかりの鹿のようであるにもかかわらず外見は成獣であり、その四肢が通常の鹿よりも長く、関節も多いと言われている。また、草食動物の目が通常側面にあるにもかかわらずノット・ディアはまるで肉食動物のように前面に目があるというのも大きな特徴だ。胸は樽のように大きく、その性格は非常に攻撃的であるのだとも言われ、目が複数ついているというとんでもない目撃ケースまである。

 近年になって遭遇や目撃談が増えており、彼らによるとノット・ディアは知性と感情を持っているように見え、人間に近づき奇妙な行動をとるのだという。追い払おうとしたり挑発したりした際に攻撃されたというものや、木の上まで追いかけられたといった証言もあるという、鹿のようでありながら何もかも鹿離れした奇妙な生物なのである。

 ノット・ディアについては、レディットにてその存在が注目を集め、その後TikTokなどを通じて大々的に周知されるようになっていった。現在では、アパラチア山脈の道路をバイクで単独走行していると、道路に鹿のようなものを発見するが、徐々に近づいていくとそれは鹿とは思えない奇妙な生物であった、と言った都市伝説の一つのパターンが形成されているようである。

 その正体について有力視されているのは、近年アメリカで猛威を振るっていると話題になった「慢性消耗病」(CWD)、通称「ゾンビ鹿病」の初期段階の鹿だったのではないかというものだ。

 ゾンビ鹿病は、アメリカを始め西欧や一部アジアでも確認されている感染症であり、いわば狂牛病の鹿バージョンとも言えるものだが、狂牛病とは異なり血液や唾液、ふん尿などからも感染すると言われている。

 ノット・ディアをCWD感染した鹿であるとする説によると、四肢の多関節というのは内部組織が失われたことでわずかに違う方向へ脚が振れるという症状によるものであり、また目が複数あるという証言も体液が光の反射で目のように光って見えたのを誤認したものであるとされている。人間のもとへ近づいてくるのは、恐怖心や警戒心が失われているからで、生まれたてかのような動きも運動機能に生じた障害の影響という理屈でつじつまはあう。

 このように見てみると、ノット・ディアはいわば感染症にかかった傷ましい鹿である可能性が極めて高い。ひとたび都市伝説的に拡散されたがために、現在ではノット・ディアを目的に山へ足を運ぶ人も多いそうだが、事情が事情であるだけにうかつに近寄ることは避けた方がいいだろう。

Not Deer | Cryptid Wiki | Fandom

The Not Deer is a creature said to inhabit the Appalachia・・・

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