今まで様々な未確認生物を紹介してきたこの連載だが、アフリカ大陸には独特の外見や特徴を持つUMAが多い傾向にある。

 広大なアフリカの大地にはいまだに知られていない生物がいるのかもしれないという期待と希望、独自の文化とそこに残る神話や伝説から、まだ見ぬ謎の生物が闊歩(かっぽ)している光景を想像してしまうのかもしれない。

 今回紹介するUMAは、ある有名な恐竜を想像させる特徴的な外見と、すごい名前で知られている…その名も「ムビエル・ムビエル・ムビエル」。現地の言葉で「背中に板を生やした動物」という意味がある。それにしても長い名前である。数あるUMAの中でもここまで長い名前のものはそうそういない(地域名や学名で呼ばれているものは別として)。

 このムビエル・ムビエル・ムビエルはコンゴ共和国リクアラ地方ブニラ村周辺の水辺に生息しているという。現地の人々の間では、水面から背中の板を出して泳ぐ姿が目撃されているが、ほとんど水中で過ごしているのか、その全身を見たものはいないようだ。

 UMAを紹介する文献でステゴサウルスがイメージとして上がるのも、原住民が絶滅動物の図鑑を見せられた際に一番似ているものとして指したのが、ステゴサウルスだったというところから来ている。

 もともとムビエル・ムビエル・ムビエルの目撃証言も、現地の人の間でも伝聞や伝説に近いところが大きいようで、目撃された現場や年代も正確に分かっていないのが現状である。

 しかし、UMA研究で知られるロイ・P・マッカル博士はアフリカの洞窟内の壁画にゾウのように大きく、背中に板が生えているような姿をした謎の生物が描かれていることを発見している。

 この壁画はムビエル・ムビエル・ムビエルが目撃された地域とは別の地域だそうだが、もしかするとかつてアフリカには同様の生物が広い地域にわたって生息していた(いる)という証拠になるかもしれない。

 このムビエル・ムビエル・ムビエルの正体については、ステゴサウルス以外にもアンキロサウルスなど様々な生物が挙げられているが、大抵が陸上に生息しているとされるものなので、体のほとんどを水中に沈めているムビエル・ムビエル・ムビエルの正体とは言い切れない。

 また、アフリカ大陸で化石が発見されていないという点もある。

 では、アフリカ大陸に生息していたとされる恐竜で、背中に板があるものはあるのだろうか? それが存在するのである。草食性のオウラノサウルスと、肉食性のスピノサウルスだ。この2種の恐竜はニジェールで化石が発見されている。

 また、2014年にはスピノサウルスが陸上よりも水中での生活に適応していたとする研究チームの研究結果が発表されているのだ。研究チームによれば、スピノサウルスは背中の板を帆のように水上に出し、初期のクジラのような生活を送っていたのではないかとされている。もしかしたら、原住民が目撃した「背中に板のある生物」はスピノサウルスのものだったのだろうか。