【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#555】ワニは、熱帯から亜熱帯にかけて広く分布している爬虫類であり、龍のモデルになった生物とも言われている。動物園でも目にするほどなじみの深い生き物ではあるが、基本的に日本国内には生息していない。

 日本において思い起こされるのが、1993年に練馬区で発生したワニの目撃騒動だろう。通称「ワニ騒動」と呼ばれるこの事件は、区内の石神井公園でワニが目撃されたことを皮切りに、多数の報道陣が詰めかけるほど話題となり、一時閉園になってしまうほどのパニックとなった。結局、ワニは発見されずじまいとなっているが、大型のカミツキガメが捕獲されたということで、これを誤認したのではないかという説が有力となっている。

 これ以前にも国内でワニの目撃情報は報告されており、1989年には横浜市緑区で犬の散歩をしていた人物がワニに似た生物を目撃し、その後も報告が相次いだと言われている。さらにさかのぼると、明治大正期には、西表島の鹿川(かのかわ)村で人間サイズのヤモリのような怪物が撃退されたという話があり、さらに幕末期には奄美大島でもワニの生け捕りがなされたという話が記録されているという。

 こうした日本でのワニの目撃は、2000年代に入っても時折報告がなされている。2001年には、神奈川県の小網代湾でイリエワニと思われる生物が発見された。ワニの可能性は極めて高いと考えられるが、発見されたのは死骸の状態であったことから、個人の飼育していたものが逃げ出したか、あるいは遺棄されたものである可能性も考えられる。

 生きた個体としては、2010年に長崎県の諫早湾でワニらしき存在が目撃されて大きな話題となっている。7月23日午前、九州農政局が湾干拓地の調整池内の生物調査を行っていた際に、ワニのような奇妙な生物を目撃したという。体長は40~50センチメートルほどと推定され、なんと3頭が確認されたのである。3頭は池の水面を浮いたり沈んだりを繰り返しており、その後周辺道路の約20か所に注意を呼び掛ける看板が設置されたほどであった。同25日には数か所にわなが設置されたが、餌の鶏肉が引きちぎられた痕跡はあったものの捕獲には至らなかった。

 しかし、その後さらなる調査が行われる中で、ワニらしき生物をとらえた写真の再検証がなされた。その結果、約10センチメートルと思われた目から鼻先にかけての長さが3センチメートルほどであることが新たに推測された。さらに、この生物が目撃された場所の周辺からスッポンの卵の殻が5個発見されたという。これらのことを踏まえ、この生物の正体はスッポンである可能性が濃厚となり、人間に大きな危害が加えられることはないということで一応の決着はついたようだ。

 2013年には、滋賀県守山市の用水路でワニの目撃(剥製であったことが判明)、2015年には、栃木県足利市の川で2メートルのワニが川の中を歩いているという目撃報告もあった(真相は不明)。

 こうしてみると、日本国内においてワニにまつわる騒動は思ったよりも発生していることが分かる。前述のように、それが本当にワニであると断定できる例は少ないが、海外ではワニに襲われ、食べられたといった被害が実際に起こっており、恐ろしい動物の一つとして名前の挙がる動物であることは事実だ。ただ、国内でこれほどに目撃がある中で、被害者が出た例が一つもないのは幸いなことと言えるだろう。

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