オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第238回は「トーオキノボー」だ。
埼玉県の山中に出た霧のような妖怪である。自分で名乗ったわけではないが、目撃者が「トーオキノボー」と呼んでいたことから、この名前がついた。移動すると足音が「ズシーン、ズシーン」とすることから、かなりの巨体だと思われる。事実、目撃者によると、巨大な巨人のような霧の塊が移動していったと言われている。
目撃者はある日、近所のコンビニで夜食と雑誌を購入し、埼玉県の国道沿いの仮設事務所に泊まり込んでいた。国道沿いなのだが、車通りや人通りはあまりなく、夜になると寂しいものがあった。
そこへ身長180センチくらいの背広姿のサラリーマンが現れ、「トーオキノボー」と叫んで、暴れ回った。目撃者はパニックになったが、すぐさま同僚に電話を入れ、車で駆けつけてもらった。2人の目の前を大きな巨人がゆっくりと歩いていった。ちなみに、背広姿のサラリーマンの行方は分からなくなった。
巨人といえば、北欧神話を連想させる。神々に対抗する力を持っており、大自然の精霊の一員であるという。ノルド語では「ヨツン」もしくは「ヨトゥン」「ヨートゥン」という。
わが国では、高千穂峰山頂で「ブロッケン現象」が観測されており、霧の中に人影とそれを囲むように虹色の輪が現れるらしい。
他に霧に関する妖怪といえば、埼玉県に「ヤナ」という妖怪がいる。この妖怪は忍者説もあるのだが、合戦の時に霧を井戸から出して、相手を確認したという。さらに福島県田村地方の妖怪で「オンボノヤス」というものがおり、山中で口から霧を吐きかけてくると言われた。霧を吹きかけられたものは、道に迷ってしまうらしい。












