時折、海岸に謎の巨大生物の死体が漂着し、未確認生物のものではないかとして注目を集めることがある。そんな死体は大抵、波や潮に流されて姿を消してしまうのだが、今回紹介するものは違う。なんと一度発見され流されたはずの死体が戻ってきてしまい、再度発見されたという不思議な経緯をたどったものである。

 1979年3月、福井県三方郡三方町(現・三方上中郡若狭町)遊子(ゆうし)の漁師が大敷網漁(おおしきあみりょう)を行っていたところ、網の中に巨大な骨を発見。長さは約10メートルほどで、脊柱の先にドラム缶ぐらいの頭蓋骨らしき骨がついていたという。

 半分は象牙色の肉で覆われ、ヤツデのような形の胸びれらしき骨も残っていたそうだ。発見時には腐敗が進行していたため、漁に悪影響が出るとして沖合20キロのところに死体を捨てた。だが、それから2か月後、遊子海岸一帯に腐敗臭が漂い、脂や肉塊が浮かぶ事態が起きた。漁師らは船を出して湾内に浮かんでいた腐敗した肉片や脂を回収し、外海に捨てた。

 それでも騒動は終結しなかった。7月29日、遊子海岸の沖合いに存在する千島と呼ばれている岩礁でダイビングを行っていた人物が水深5メートルの海底に大蛇のような巨大な骨を発見。まさしく3月に漂着した生物の骨に間違いなかったのである。

 だが、地元の人でも不思議に思う点があった。死体は一度外海に捨てられている。潮の流れから考えて、湾内に死体が戻ってくることは考えられないというのだ。

 この怪物の死体騒動は当時、地元で騒動になり、読売新聞など各種メディアで取り上げられる騒動となった。なお、この怪物は当時のメディアではネッシーになぞらえて「ユッシー」の名前で呼んでいたようだ。

 果たして、この生物の正体は何だったのか。当時の報道では、動物学者に鑑定を依頼して正体はウバザメではないかという結論を得ている。

 確かにこの地域には、昔から大型のサメを指す「ワニ」が外海に出るという言い伝えがあった。地元の年配者によれば、外海で漁をしていると時々、大きなワニが群れでやって来て、漁船を囲んでぶつかってきたり、逃げる船を追いかけてきたりしたという。しかし、疑問も残る。ウバザメは温厚で動きも遅く、漁船に襲いかかったり船を追いかけるようなスピードは出せないとされているのだ。

 この近海にはサメとはまた別の怪物がすんでいたのだろうか。怪物の謎は完全に明らかになったとは言えないのである。