【橘高淳 審眼(60)】巨人、レッドソックスなどで投手として活躍された上原浩治さんのユーチューブ番組「上原浩治の雑談魂」に出演させていただき、本当に楽しい時間を過ごさせていただきました。いろいろなテーマで元セ・リーグ審判員の私と、元パ・リーグ審判員の山崎夏生さんからエピソードトークを展開するのですが、ユーチューブというメディアの特性もあり既存メディアでのトークとはひと味違ったリラックスした雰囲気が画面からも感じられます。
私がセ・リーグ審判員として出場していた時代、広島に北別府学さんという名投手が在籍していました。北別府投手は「精密機械」の異名を取るほど制球力にたけた投手でした。それはもう内外角のストライクゾーンからボール半個どころか、指2本以内くらいの幅で出し入れするくらいのコントロールを持ってました。
それこそストライクと取れば甘く、ボールと判定すれば辛い。球審を悩ませる好投手でした。1980年代のカープ黄金期を支え5度のリーグ優勝と3度の日本一に貢献。投手の主要タイトルを12個獲得するなど通算213勝という抜群の実績を備えた名球会の会員です。2023年に他界されたのは本当に残念です。
ドジャース・佐々木朗希投手がロッテ時代に1試合NPB最多タイの19奪三振を記録した試合で私が球審を務めていたことは当欄でも書きましたが、佐々木投手の27年前に同じ千葉マリンスタジアムでその記録を樹立したのがオリックス・ブルーウェーブの野田浩司投手なんです。95年4月21日のロッテ戦です。その試合で球審を務めていたのが山崎さんだったんです。
千葉マリン特有の海風がバックネットに当たり、投手にとっては逆風。すると、高めのボールが浮いてきたりとボールが微妙に動きます。あの日の野田投手は5回までに12奪三振です。山崎さんも「これはいくな」と思ったそうです。
千葉の風の影響は投球だけではなく守備にも及んでいました。ファウルフライになるはずの打球が2個あったのですが、右翼のイチロー外野手、一塁の藤井康雄選手が風の影響で捕球し損なっているんです。その後に各打者は三振を喫していますので、もしかすれば奪三振数が17になっていたかもしれない。こんなエピソードも山崎さんと共演できたから聞くことができました。
私がデビュー間もないころの巨人・松井秀喜選手の打球の速さに見ほれてしまったこと。中日時代の落合博満さんが、投球を見逃したと思った時にバットが出てくること。それに関しては横浜、ソフトバンクで活躍した内川聖一選手もそうでした。
現在の表現では「神対応」というんですか、非常にマナーが良かった選手も話題になりました。山崎さんとも同意見でしたが、ヤクルト、日本ハムで活躍した稲葉篤紀選手は素晴らしかったですね。そして、西武からメッツに移籍し楽天などでもプレーした松井稼頭央選手の名前も出ました。本当に判定に対して何も言わない。スーパースターであってもマナーが良かった選手です。
また、私が球審を務めた試合でプロ初勝利を挙げた選手は新人王を獲得するということが続いたことがありました。その一人が実は上原浩治投手です。ご本人は忘れていると思ったので、番組収録中にお話しすることができました。
ほかには阪神の藪恵壹投手、ヤクルト・伊藤智仁投手、楽天・松井裕樹投手が私の球審担当試合でプロ初勝利を挙げた投手です。いやはや、お話が尽きません。












