【橘高淳 審眼(56)】2022年4月10日にロッテ・佐々木朗希投手がオリックス戦(ZOZOマリン)で完全試合を達成しました。私はこの試合で球審を務め、快挙の瞬間に立ち会っていました。
1試合19奪三振がNPBタイ記録であったり、13者連続奪三振が世界記録であるなど、この試合では数々の記録が生まれました。これはひとえに佐々木投手の実力のたまものではありますが、支えた仲間の存在も忘れてはなりません。
完全試合は失点、被安打はもちろん、四死球や失策があっても成立しません。特に佐々木投手ほどの直球の威力と切れ味鋭いスプリットがあれば、ミットに投球を収める捕手の技術も一流でなくてはなりません。
佐々木投手自身、20歳5か月で完全試合を達成したのはNPB史上最年少です。もう少し表現を変えれば、20世紀以降の近代プロ野球における完全試合達成者としては世界でも史上最年少でした。プロ入り初完封、初完投勝利が完全試合だったことも史上初。プロ通算14試合目での達成も史上最速。毎回奪三振での達成も史上初と初ずくめです。
中でも私が特筆したいのは、佐々木投手とバッテリーを組んだ松川虎生捕手の存在です。佐々木投手のボールに対し「すごいな」という印象を持ったことはもちろんですが、それを捕球している松川捕手に対しても「すごいな」と素直に思いました。
ドラフト1位とはいえ、21年に市立和歌山高校から指名された高卒ルーキーですよ。大阪のクラブチーム・貝塚ヤングでチームメートだった小園健太投手も、同じ高校に進み、同じ年にDeNAからドラフト1位指名を受けた経緯もあり、若い時からプロレベルのボールを受けていたことは事実でしょう。
しかし、私自身も滋賀・瀬田工高から捕手としてプロ入りしているので分かりますが、プロの一流のボールを高校生がそう簡単に捕球できるはずがないんですよ。
私はてっきり3月27日の楽天―ロッテの開幕カードで捕手を務めているのは大学、社会人出身の選手だと思っていました。そうしたら、高卒ルーキーだというから驚きです。二塁塁審の位置からだとよく球筋も見えます。佐々木投手の落差の大きいフォークボールもしっかり止めている。球審に不安を与えない捕手でした。ちゃんと捕ってくれるという安心感はありましたね。
佐々木投手と松川捕手のバッテリーの合計年齢が「38歳330日」ということで、完全試合を達成したコンビとしては世界最年少記録です。松川捕手はルーキーイヤーの22年には76試合に出場していましたが、その後は23年に9試合、24年に2試合と出場試合数を大きく減らしています。
ロッテ・吉井理人監督は和歌山県出身でもあるので、松川捕手も気に掛けてもらってはいるのでしょうけど、どうでしょうか。伸び悩んでいるのか。それは私が語ることではないですし、大きなお世話でしょう。野球選手は表に出せない故障を抱えながら、隠したままプレーしている選手もいます。想像では語れません。












