【橘高淳 審眼(57)】2022年4月10日、ロッテ・佐々木朗希投手がオリックス戦(ZOZOマリンスタジアム)で完全試合を達成しました。私はこの試合で球審として、歴史的快挙に立ち会いました。それは野球に携わる人間として非常に幸運なことです。
その佐々木投手の次回登板、予定通り中6日で先発マウンドに上がった4月17日の日本ハム戦でも物語は続いていました。前々試合から継続していた連続イニング奪三振は25イニングまで更新。3回表の日本ハムの攻撃が3つのフライアウトとなり、記録はストップしたものの、1シーズンで日本人投手が記録した数字としては元オリックスの山本由伸投手に並ぶ最長タイ記録です。
シーズン初登板初回からの連続イニング奪三振記録としては、日本ハム・伊藤大海投手を上回り史上最長記録となりました。そして何より、佐々木投手はこの日も完全投球を続けていました。私はテレビ観戦していましたが、完全試合を達成した試合同様にいいボールを投げるなという印象でした。
実際に8回無安打14奪三振で無失点。あとアウト3つで世界初の2試合連続完全試合達成という金字塔を打ち立てる可能性もありましたが、9回はマウンドに上がらず降板したのです。打線の援護がなく勝敗がつかなかったことも相まって、当時の井口資仁監督には賛否さまざまな声が降りかかりました。
あの試合での佐々木投手の降板は自身の判断によるものでした。某テレビ局の番組に井口氏と一緒に出演させていただいた時にご本人から直接、聞いた話ですが、佐々木投手本人が右ヒジに張りを感じたため、降板を申し出た結果でした。井口氏は「僕が悪者になっちゃいましたよ」と苦笑いでしたが、そうではないんですよ。
井口氏の著書にも書かれていますが、佐々木投手が9回のマウンドを志願したにもかかわらず、無理やりに降板させたわけではありません。あの日の選択は試合中の密なコミュニケーションから生まれた、全員が納得いく結果だったということです。
先発投手と当時のロッテ首脳陣は試合中のイニング間、投手コーチを通じ状態チェックを行っていて、その上での判断ということです。昔であれば、ヒジに張りを感じていたとしても何も言わずに投げ続ける投手の方が多かったことでしょう。しかし、佐々木投手は記録に固執せず、将来的に継続するキャリアを考え体を守りました。野球の世界も徐々に変化してきたということでしょう。
あの試合、私の目から見た印象では、完全試合を達成したZOZOマリンでの投球と同様に好調であると感じていました。当時の井口監督は球数の多さや、小さな変化を感じていたかもしれませんが、私の目には完全試合を達成した日と同じ佐々木投手に映っていました。その後、24日のオリックス戦に登板した翌日の25日に登録抹消になっていますね。当時の首脳陣は疲労を考慮したのでしょう。
現状、大リーグのドジャースに移籍し、故障離脱という形になってはいますが、将来を見据えて体を大切にしてさらなる発展を遂げてもらいたいものです。私は現場を離れていますが、佐々木投手の今後の活躍を祈っています。
佐々木投手は24日のオリックス戦で初回先頭打者の福田周平選手に安打を許し、連続イニング無安打および連続打者凡退記録がストップしました。ただ、17イニング連続無安打、52者連続アウトという数字は現在でも、ともにNPB記録です。













