セ首位の阪神が27日、DeNA戦(倉敷)で3時間55分の延長戦を制し、1―0で今季初のサヨナラ勝ちを飾った。両軍無得点で迎えた11回無死満塁の場面で森下が相手5番手・颯から押し出し四球を選び、グラウンド上には歓喜の輪ができ上がった。

 相手先発のバウアーを攻略できず、8回まで4安打無得点。12三振を奪われる内容で攻撃の糸口をつかむのも困難だった。だが阪神も先発の才木が4四球などで制球に苦しみながら6回1/3を117球、6安打無失点。その後は及川、石井、岩崎、湯浅、岩貞が14打者連続アウトに仕留めるパーフェクトリリーフで勝利をたぐり寄せた。

 ベンチを預かる指揮官としては、普通に考えれば胃の痛い展開のはず。だが、藤川監督は「全然、しんどくないです」と言い切った。これが本音かどうかは本人のみぞ知るところ。しかしながら「しんどくない」はやはり〝うそ〟に聞こえる。強いて言えば、勝ったからこそ「しんどくなかった」と解釈した方が自然だろう。

 藤川監督は現役時代、虎の守護神として数々の修羅場をくぐり抜けてきた。その当時は「阪神、巨人という重圧のかかるチームで長く『守護神』を続けられた投手って何人いてます?」と話していたほど「仕事」に自負心を持っていた。重圧に屈せず、逆に飲み込んでチームを勝利に導く。この激務を知り尽くす指揮官だからこそ、この日手にした倉敷での1勝の重みを実感している。

「私が現役の時を思い出すような、毎日、こういうゲームで本当に頭が下がる。ベンチでも選手同士でなんとかリリーフ陣が頑張っている間にというのがあった。これはチームが一つになれてゲームが行えている証拠。最後にこちらに運が向いた」(藤川監督)

〝不思議の勝ち〟かもしれないが、1勝は1勝だ。負けなかった事実、勝ち切った現実を藤川監督は重視する。「どちらに転ぶかわからないゲームを白星、引き分けにすることができていれば後半になると大きな差になる。こういうゲームを取れているというのがチームの力に変わる」。秋に歓喜の瞬間を迎えるべく、虎の指揮官は着々とイメージを描いている。