パ・リーグ連覇を目指すソフトバンクは開幕から主力に故障者が相次ぎ、昨季一度もなかった5連敗をすでに2度喫するなど苦しいシーズン序盤を迎えている。

 それでも、ここへきて若手の奮起がようやく実を結び始め、ゴールデンウイーク中の9連戦を5勝4敗で乗り切り、徐々に反攻態勢を整えつつある。連戦を耐えしのいだ小久保裕紀監督(53)の総括に、誰もが納得したはずだ。

「晃(ひかる)のサヨナラがなかったら、優勝争いからはみ出ていたかもしれない。踏みとどまったゴールデンウイークだったと思います」

 9連戦最初のカードで日本ハムに3連敗を喫して借金は一時「7」まで膨らんだ。小久保政権ワーストを更新し続ける負の連鎖が止まったのが、2日のロッテ戦(みずほペイペイ)だった。9回二死から1点差に詰め寄り、最後は代打・川瀬晃内野手(27)の2点適時二塁打で逆転サヨナラ勝ち。チームは5連勝を収め、紛れもなく川瀬の一打が潮目を変えた。

 小久保監督や奈良原ヘッドコーチが一目置く、代えの利かない「スーパーサブ」だ。どんな局面でも対応できる川瀬の存在が戦術の幅を広げ、ベンチに安心感をもたらす。信頼の源は凡事徹底にある。内野の全ポジションを守る川瀬だが、チームの有事などには機転を利かせて外野守備の練習にも就く。

「何が起こるか分からないですから」。〝準備の人〟は、グラウンド外でも体のケアや用具にもこだわる。今季から本格導入したバットは、昨年まで同僚だった巨人・甲斐拓也捕手(32)の相棒をモデルにしたもの。昨夏、不振に陥った際にすがる思いで先輩から拝借したのがきっかけだった。従来より短く、軽くした操作性の高いバットへの変更も「安定感ある打撃でもっとチームに貢献したい」という思いからだった。

「(新天地で)打ちまくってる甲斐さんにあやかりたいんですよ」。スポットライトを浴びても冗談を飛ばして謙遜するのがお決まりの27歳。今年も〝困った時の川瀬〟は健在だ。