中日は4月30日の阪神戦(バンテリン)に延長11回の末、5―4でサヨナラ勝ちし2連勝。4時間20分のロングゲームを制したことで、借金も気がつけば残り「1」と上位進出ムードを漂わせ始めている。本紙評論家の伊勢孝夫氏も「今の中日からは雰囲気の良さを感じる」と、新生・井上竜の〝どらポジ〟ムードに太鼓判を押した。

【新IDアナライザー・伊勢孝夫】大なり小なりのミスは両軍にあったけど、俺はナイスゲームだったと言いたいな。9回二死二、三塁で迎えた松山と近本のマッチアップには久々にシビレたわ。勝負球が「直球かフォーク」の二択にまで絞られた、まるで〝丁半博打〟のような鉄火場の勝負。カウント1―2まで追い込まれてからの、インハイ154キロ直球をファウルで逃げることができた近本の技術の高さはさすがの一言や。

 並のバッターやったらまずは空振りしてしまうコースと球威。近本の状態の良さが伝わってくるな。それでも最後は内角低めの155キロ直球で見逃し三振。最高の球やったな。松山の方が一枚上手だったわ。

 その裏の中日の攻撃で、一打サヨナラの二死満塁から山本が仕掛けた単独のセーフティースクイズが批判されていたけど、あれは純粋にマウンド上の桐敷との実力差がありすぎてバントを仕掛けるしか、山本に選択肢がなかったってことだったと俺は理解したな。打球が桐敷の真正面に転がってしまったこともあり、ちょっと不格好に映ってしまったな(笑い)。

 それでもまあ、ええやないか。最終的に中日が勝ったわけやしな。白星には多少のしくじりもミスもかき消してくれる力がある。今の中日ベンチからは前向きなムードの良さを感じるよ。投手陣の層の厚さは誰もが知るところ。ここから順位を上げていきそうな予感はするな。

 一方の阪神は手痛い形で星を落としたな。この日、体調不良で登録を抹消された右の中継ぎエース・石井の不在がモロに響いた格好や。チームはまだ9連戦の2試合目。及川を2イニングまたがせ、桐敷、湯浅らの切り札を投入しても勝ち切れなかったわけやからダメージは大きいと思うよ。中継ぎ陣の消耗が少々心配やな。

 それでも阪神の総合的なチーム力の高さを疑う余地などない。この日も4打数2安打1打点と結果を残した4番・佐藤輝は好調を持続できているな。打席内で前足(右足)を柔らかく使えているから、直球にも変化球にも〝両面待ち〟で対応することが可能になる。逆方向にもライナー性の打球が飛び、ヒットになりやすくなる。米ドジャースのフリーマンに似てきたな。やっぱりこのチームで4番を打つべき打者は、佐藤輝しかいないよ。

(本紙評論家)