【赤ペン!赤坂英一】ヤクルトのマスコット、つば九郎の担当スタッフが永眠したと発表されて以来、多方面で悼む声が後を絶たない。特に惜しまれているのがネタ作りのための陰の努力、会食の席などで関係者に見せていた気さくな人柄だ。
かく言う私も神宮球場へ行くたび、つば九郎と軽口を叩いていた一人だった。時にはツーショットを撮らせてもらったり、親しい関係者の何人かで食事をともにしたり。
彼は普段、素顔を撮られることを嫌っていたが、酒の席で興が乗ったら、ヘン顔をしてみせることもあった。こちらも調子に乗り、彼の顔をスマホで撮ったりしたけれど、これはさすがにその場で即座に削除している。
気になる死因は肺高血圧症と一部で報道されている。年々猛暑が激しくなる夏場にはベンチ裏で汗びっしょりになり、息を切らしている姿も目撃されていた。つば九郎の着ぐるみは約20キロもの重さだというから、日々の過労が体調悪化につながった可能性もある。
しかし、マスコットはどんなに疲れても年を取っても、見た目からは全く分からない。また、中の担当者が体調や年齢を自ら明らかにしてはならない職業でもある。
昔、ヤクルトとは別の球団で、私が親しくしていたマスコットがいた。私がロードバイクでキャンプ地を回っていると、そのマスコットが私の隣を並走したりする。担当者はアスリートさながらの体力の持ち主だった。
シーズン中のある日、その球団の本拠地球場に行くと、その担当者が松葉づえをついていた。数日前、試合前のパフォーマンスに失敗し、足を骨折してしまったという。が、普段彼が演じているマスコットの方は、いつものようにグラウンドを走り回っている。中身は代役のスタッフだった。
代役がいるのなら休めばいいでしょう。そう私が言うと、担当者は苦笑しながら首を振った。
「そうはいかないんですよ。マスコットにはコアなファンがついていますから、パフォーマンスの動きが変わると気がつかれるんです。あっ、“中の人”が代わったんじゃないかって。マスコットのファンはそういうことにすごく敏感ですから。それを防ぐために僕も球場に来て、代役の人にいろいろアドバイスしなきゃいけないんです」
ファンがマスコットに抱く夢は、そんなスーツアクターのプロフェッショナリズムに支えられているのだ。この担当者はプロだった。つば九郎もまたプロだった。謹んでご冥福をお祈りします。













