まだ開幕直後とはいえこの打撃は「本物」か。日本ハム・田宮裕涼捕手(23)がプロ6年目の今季、覚醒の予感を漂わせている。

 2018年に千葉・成田高からドラフト6位で入団。プロ入り直後から強肩が評判だったが、課題の打撃で結果を残せず昨季終盤まで主に二軍暮らしを余儀なくされた。

 しかし、今春キャンプには持ち前の強肩に加えて打撃のアピールに成功。見事開幕スタメン出場を勝ち取ると、以後は連日にわたり打棒が爆発。6日には打率5割2分4厘でパ首位打者に躍り出るなど急成長を遂げている。

 この絶好調ぶりについて本人は「1打席1打席いい打席を心掛けているだけ。それがいい結果につながっている」と謙虚に話すが、課題だった打撃の向上には球界屈指の「打撃職人」の影響も少なからずある。昨季本塁打王と打点王の2冠に輝いたソフトバンク・近藤健介外野手(30)の存在だ。

 22年まで日本ハムで同僚だったが「一昨年(チームに)いた時にちょっと話をしただけ」(田宮)という間柄。今も親交は少ないが近藤の堅実かつ粘り強い打撃をプロ入り直後から参考にしていたという。

「近藤さんはボールの見極めがすごいですが、僕は見極めはそこまで得意じゃない。僕はボール球でも振っちゃいますし。でもタイプは違いますがずっとお手本にはしています」(田宮)

 天才打者の研究が高じてか、最近は打席での構えや特徴が近藤に似つつある。田宮は「たまたまです。マネしているわけじゃないです」と模倣は否定しつつも「僕の中では(打撃が)いい感じになってきている。だから似ているのかなぁ…」。そう手応えを感じるだけに、近藤に匹敵する打者に成長する可能性は十分ある。

 新庄監督もそんな「打てる捕手」に一目置き、7日の西武戦(エスコン)では1番に抜てきしたほど。

「一番いいバッターの打席が多く回ってくる方がいい。1番にしたから(投手の)リードがどうこうとかの問題じゃない。だったら(ここまで)打ってないでしょ」

 そんな期待を背負う23歳はこの日は無安打に終わったものの、依然として打率4割5分8厘。このまま球界を代表する安打製造機にのし上がるのか。新たに出現した北の若武者の今後が注目される。