第96回選抜高校野球大会は健大高崎(群馬)の初優勝で幕を閉じた。今大会は打球速度を抑えた「低反発バット」導入で長打が激減し、本塁打は金属バットが導入された1975年以来、最低のわずか3本塁打に終わった。その半面、走力、守備力が重視される試合運びになったが、空中戦の華やかさが減った大会を日本高野連はどう見たのか。井本亘事務局長は「将来的に打撃技術のアップにつながる」と期待している。
「飛びすぎる」と言われ続け、投手強襲の危険が指摘されていたことで新基準のバット使用を義務付けて反発力を抑え、投手の安全面に対応した。従来より反発性能が5%~9%、打球初速は約3・6%減少されたことで、打者は苦戦を強いられた。フライ打球は失速し、芯で捉えて低い打球を弾かないと飛んでいかない。青森山田では木製を使う選手も現れた。本塁打は昨春の12本からランニング本塁打を含めてわずか3本に激減。単打による得点が増え〝投高打低〟がより顕著になった。
空中戦の少ないおとなしい試合が続き、主催者関係者から「華やかさがなくなった。実況アナウンサーの〝大きい!〟という声もないし、前進守備の隊形ばかりテレビに映りますよね。こういうのも野球の面白さではありますが、様変わりした感はあります」の声も聞かれたほどだ。
想定通りとはいえ、この状況を日本高野連はどう見ているのか。井本事務局長は「変わって最初の大会なので、選手がまだ真剣勝負の生きた球を打つ場数を踏んでいない。もしかしたら終わって春大会、夏となれば変わってくるかもしれない。僕らも分からない。打つのがいいのか、守備がいいのか…彼らが精いっぱいやった結果がこういう状況になっているだけかもしれない。見ているみなさんも何が好みなのかは分からない」と今後の推移を見守っていく考えだ。
ただ、一方で打者の技術向上につながるとの期待がある。「道具の力に頼らない。金属性バットだけじゃなくてスマホとか世の中いろんなものが便利じゃないですか。便利だからこそ持ってるスキルを磨く機会も少ないかもしれない。そういう意味で選手にはプラスなんじゃないか」と見ている。
ひいては球界全体のレベルアップになる。大学、プロ入りする選手は再び木製を手にすることになり「仰々しく言いたくはないですが、金属の特性に合わせた打ち方と木製は違う。慣れた金属が木製に変わるとまた慣れるのに時間がかかる。それが(低反発の)木製に近づけたことで時間がかからなくなるのはあるでしょう。次のステップで本格的に木製になる時に苦労したことがプラスになってくれればいい」とした。
WBCでも大谷(ドジャース)、吉田(レッドソックス)、村上(ヤクルト)ら世界レベルの強打者がいたから世界一まで駆け上がった。球児らも夏大会後に木製バットでのU―18の国際大会を控えている。対応に四苦八苦した選手も少なくなかっただけに「夏大会からの期間が少なく、金属と木の違いに戸惑ったところはあったと思う。(木製に近い)基準に変わって慣れる時間が増えれば、将来的にジャパンで打ち勝つ野球が高校レベルでもできるかもしれない」とも…。取り組みが実を結び、ワールドクラスのスラッガー誕生となるかもしれない。












