【取材の裏側 現場ノート】新日本プロレス「NEW JAPAN CUP」を制したのが「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の辻陽太だ。

 辻のプロレス入りに関しては大学時代に棚橋弘至から「いい体してるね。プロレスやらないの?」と声をかけられたエピソードが有名だが、卒業後は人材派遣会社に就職。悶々とした日々を送る中、2016年4月両国大会でIWGPヘビー級王座初戴冠を果たした内藤哲也がベルトを放り投げる姿に感銘を受け、新日本の門を叩くことになった。

 取材時にこの話を聞いて驚いたのは、辻の行動力だ。入社して1か月もたたないうちに退社を決断した新卒社員に、周囲の反応は冷ややかかと思いきや、実はその会社は大学時代の中邑真輔(現WWE)がバイトしていたという不思議な縁もあった。辻は「だから自分の夢をすごく応援してもらえて。社長が『ぜひとも頑張ってほしい。中邑選手みたいなスターになってほしい』と言って送り出してくれたんです」と振り返る。

 同年9月からはアニマル浜口ジムでトレーニングを積もうと思ったが、入門を許されない日々が約1か月続いた。すでに遠回りしてしまっている自分には時間がない。そこで辻は〝強硬手段〟に出る。「浜口ジムでやってる練習は見ていたので、練習前にそのメニューを全部やってみせたんですよ。そうしたら浜口さんが『できるなら今日から参加するか』と言ってくれました」

 若手時代には内藤とのシングル戦を実現させようとSNS上でファンに呼びかけるなど、型破りな言動で注目を集めていた。そして現在、内藤とのIWGP世界ヘビー級王座戦(4月6日、両国)を前に、統一ベルト解体とIWGPヘビー級王座の復活を掲げ賛否両論を呼んでいる。抜群の身体能力に加えて底知れぬスケールを感じさせる辻が、プロレス界に新時代を到来させるのか注目している。(プロレス担当・岡本佑介)