超人らしい逆方向への見事な一発だった。ソフトバンクの柳田悠岐外野手(35)が23日、広島とのオープン戦(ペイペイ)に「3番・右翼」で出場。初回一死一塁で迎えた第1打席に左翼席中段へオープン戦2号となる豪快な2ランを叩き込んだ。相手先発は実績十分の右腕・森下。初球を完璧に捉えた主砲は「打ったのは真っすぐ。いいスイングができて、先制となるホームランを打ててよかった」と淡々と手応えを語った。

 この日は2打席でお役御免となり、ここまでオープン戦は通算36打数12安打、打率3割3分3厘、チームトップタイの9打点と好成績をマーク。数字以上に打撃内容が良く、順調な調整ぶりがうかがえる。この日の一発は飛距離121メートル、打球速度177キロ、飛び出し角度26度。まさに右打者が引っ張ったような痛烈な一打だった。

 きっちり3・29オリックスとの開幕戦(京セラ)に照準を合わせてきた。野手では近藤とともに「レギュラー」を確約され、調整を一任された鷹の大砲。野手最年長の35歳は自覚と責任感を胸に、細かい微調整を繰り返していた。コンディションや調子に合わせて練習法を変え、打撃フォームも見直した。目に見える微調整を加えた先週から一気に打撃内容は改善し、いつ開幕しても問題ない状態に仕上げてきた。

 この日の一発は、打球方向とすさまじい弾道から全盛期をほうふつとさせた。その感想を誰よりも持っていたのは、王貞治球団会長(83)だった。「振りが鋭くなっているし、逆方向の一発は本当にすばらしかった。あのホームランが出てくれば、これまでの良い時の彼の姿がまた見られる。本数も期待できる」。完璧な仕上がりに太鼓判を押しつつ、シーズンでの大暴れを予言。さらに王会長は球場を出る際、おもむろに立ち止まり「あれが出て、柳田本人が一番ホッとしているはずだよ」とニコッと笑った。相当な自信を胸に開幕を迎えられる精神安定剤となる一発――。スラッガーの心理を読み解き、秘蔵っ子の衝撃弾を自分のことのように喜んだ。

 明るい表情、落ち着いた振る舞い、全盛期の弾道――。まさにポジティブ要素であふれている柳田。14日の巨人とのオープン戦で一発を放った際、小久保監督は「まだ打球が若いなあ」とうなった。大げさではなく、若返ったかのような柳田の新シーズンを期待せずにはいられない。