投打二刀流が復活するころには手元にも追い風が吹きそうだ。ドジャース・大谷翔平投手(29)は今秋に右ヒジを手術したため、移籍1年目は「野手一本」で臨むことが濃厚となっている。

 利き腕にメスを入れたのはメジャー1年目の2018年以来2度目となり、いかにMLBで投げ続けることが過酷かを物語るものとなった。完治すれば、2025年から「投手・大谷」の復活も期待される。そこでの最大の懸案は故障の再発となるが、リスクは軽減されていく見通しという。その要因として米球界関係者が挙げたのは、年々改良が重ねられているMLBの公式球だ。

「19年以降、滑りにくい質感でボール自体も低反発化が進み、投手にとってより良いボールとなっている。この傾向は今後も続く。〝暗黙の了解〟とされたグラブや体に粘着物を塗る行為には厳しくなったが、2年後にはもっと体への負担が少ないボールとなっている可能性が高い」

 2010年代中盤には、先発ローテーション投手を中心に利き腕を故障する事例が相次いだ。原因は「滑りやすい」とされたローリングス社製の公式球で、MLB機構も18年から改良に着手した。多くの選手から指摘されたのは、球の大きさのバラつきや質感の違いなどで、MLB側は一括して管理する体制を整え、製造工場や製造過程も一元化。従来よりも滑りにくく誤差も少ない球を大量生産できるシステムを構築し、その質は今なお向上し続けているという。

 となれば、大谷が誇るあの〝必殺球〟にも大きな後押しとなりそうだ。それは通常のスライダーよりも真横に鋭く変化する「スイーパー」。全投球の3割以上を占める割合で投じて打者をきりきり舞いさせた一方、スライダーよりもヒジに負担がかかるとされる。まさに〝もろ刃の剣〟で「今年1年間(投手で)持たなかった原因は少なからず、この球の投げ過ぎにある」と指摘する専門家も多かった。

 しかし、球の改良がさらに進めばより操りやすくなることは間違いない。23年の大谷は23試合に登板して167三振を奪い、奪三振率は11・39をマーク。ア・リーグ1位の237奪三振をマークしたケビン・ガウスマン(ブルージェイズ)の同11・53を上回ることも十分可能だろう。

 マウンドで躍動する姿はしばらく見られないが、ユニコーンが舞い戻った時にはこれまで以上の奪三振ショーが繰り広げられるかもしれない。