獅子のFA史が塗り替わった――。これまで12球団最多の20人が〝FA流出〟している西武で初めてのストーリーが加わった。
2018年オフに現場サイドの森友哉捕手(28=現オリックス)優先起用に身を引く形で巨人へFA移籍した炭谷銀仁朗捕手(36)が楽天を戦力外となる形で6年ぶりに古巣に復帰。7日に埼玉・所沢の球団事務所で入団会見を行った。
「楽天を戦力外になった時に渡辺GMからお声を掛けていただいて本当にうれしかった。来季からまた初心に帰ってチームの力になれるよう頑張りたい」。これまで二軍監督→一軍監督→シニアディレクターとして信頼関係を築いてきた渡辺久信GM(58)の〝心遣い〟に感謝の思いを語った。
これに渡辺GMは苦笑いを浮かべ「順番はちょっと違うんだけど、銀仁朗がそういうふうに言っていたのでそれでいいです(笑い)」と回答した。渡辺GMが言う〝手順の違い〟というのは、楽天から戦力外通告を受けた炭谷の方からまずその報告を受け、チーム状況を勘案した上で正式に復帰オファーを出し、これを快諾してもらったという流れのようだ。
いずれにしても、これまでの節目節目で筋を通し、相手を立てながら最善の振る舞いをしてきた炭谷の人徳が呼び寄せた〝奇跡〟の復帰劇だ。西武の歴史の中でもFAで出て行った選手が、まだ現役中にこれほどの歓迎を受けて戻ってきた例はない。
動画によるサプライズメッセージで「野球選手としてFAしてトレードもして古巣に帰ってくるというフルコースみたいな形で帰ってきましたね。すごく楽しみにしていますし、ジャイアンツとイーグルスで学んだことをぜひ教えてほしい」と語っていた兄貴分・栗山巧外野手(40)は「やっぱり銀仁朗が筋を通したからだろうし、(在籍した)全ての球団と意思疎通ができていたから」と筋書きのない復帰劇のポイントを指摘した。
一方でこれとは真逆の対応を取り続け、去就が不透明となっているのが先月14日にFA宣言をしたまま雲隠れ中の山川穂高内野手(32)だ。
ここまで全ての対応で後手に回り状況は悪化の一途をたどっている。チーム内からも「ここから何を言ってもやっても、遅きに失した感じ」という声が漏れており、西武ファン、そして有力移籍先と見られるソフトバンクファンからも歓迎とは程遠い反応が起きている。
その原因を作ってしまったのは自らの行いにあることを、異例の歓迎ムードとなった炭谷の復帰劇が教えてくれている。












