【森脇浩司 出逢いに感謝(13)】李大浩は心強い存在でした。足は遅くても好走塁をしてくれたことがありました。僕がいつも言っていたのが、ランナー三塁で捕手がボールを三塁方向にはじいた時、一番ホームを狙いやすいということ。捕手って投手と違って左投げはいない。三塁方向に転がったボールを追いかけ、捕って右手で逆方向のホームに投げるのって簡単ではないんです。

 李大浩はほっともっとフィールド神戸でその状況になり、ホームインしてくれた。足の速い遅いはあっても、みんながそういう走塁面に興味を持つこと、特に中心選手がいかに狙って実行するかどうかで、チームの力を測ることができる。その意味でも李大浩は本当に心強かったですね。

 足の遅さを補ってあまりあるものがあった。体の割に守備能力も高く、得点圏での打力、反対方向へも打てる。移籍は僕にとってはショックでしたね。よりによってホークスでしょ…。後に個人的に話した時、「監督、ごめんなさいね」って。僕が「最終的に決断したのは自分だし、これからも遠慮せずに頑張ってくれ。条件はどうだったんだ」と聞くと「オリックスの倍です!」と。それは冗談だか分からないけど、みんな自分の人生。この行動がどういうふうに見られてしまうんだろう、プラスかマイナスか。そういうのを含めて進路を決めていくわけですから。

 自分の価値が上がるといろんなところからオファーが来る。外国人とはいえ、自分たちと同じ時間を共有した選手が周りから高い評価を受けて巣立っていくのは家族なら願うことでしょ。たくさんのお金をもらって大きくなっていくことは素晴らしいこと。ただ…1年間通して計算している選手だったんで外れてしまうと苦しいですよね。現実とどう向き合うか、が大事ですね。

 セットアッパーとして2013年、14年と2年連続で67試合に登板し、最優秀中継ぎ賞を取った佐藤達也の存在も頼もしかった。こんな勤勉な選手も珍しい。毎日でも働きたい、投げたい。キャンプの室内練習場に行くと、ネット相手にチェックしながらずっと投げている。肩へのストレスがないならいいけど、まだやっているのか、というくらい続けていました。金子千尋のような完璧主義なところもあるし、やっておかないと落ち着かない。求道者のようなストイックさがあった。

 彼を酷使したとか何とか言われましたけど、優勝争いしたりポストシーズンまでいけばそれなりには投げる。でも、ホントによく投げてくれた。佐藤にしても13年にソフトバンクから入団した馬原孝浩の存在が刺激になっていたと思いますね。強さを宿し、キャリアだけじゃなく、人間性もいい。どれだけのプラスがあるかと考えたら影響は計り知れない。ブルペン陣にいろんなものを与えてくれたと思っている。フル回転してくれた佐藤もその1人でしたね。