【森脇浩司 出逢いに感謝(8)】オリックス打線では糸井嘉男の存在が大きかった。選手の個性を大事にしたかったし、世間がイメージするキャラクターもあるし、自分が醸し出すキャラクターもある。超人、宇宙人、規格外なんてマスコミにも言われてね。そこに力量もあったので注目され、愛されたと思いますね。
チームが強くなるためには個々のレベルアップは絶対の必須条件だけど、その中で幹となる選手は必要。嘉男は幹となれるポテンシャルを十分に持っていたので2015年はキャプテンにも指名したわけです。前年度は坂口智隆がキャプテンで、彼も申し分のない人柄でこなしてくれた。人間的に分厚くなった坂口が僕の中にいたので、キャプテンじゃなくても中心となってやってくれると思った。そして日本ハムから来た嘉男がチーム愛と自覚を持って、オリックスの中心、球界の中心選手となって歩んでほしいという願いでした。
14年は打率3割3分1厘で首位打者を取り、31盗塁も決めた。文句なしなんです。でも、シビアな見方をすれば…肩が強くて打撃がよければゴールデン・グラブとか、日本ではそういうふうに見られがちなんです。でも守備は守備として本当にうまいかそうではないか、というのはある。ケチをつけるわけではないけど、盗塁できるから走塁が上手かというとそうではない。本当の走塁って中間的な足のスピードのある選手がうまかったりするんです。
野球ってベースは四角でも円のスポーツなんで、ニュートラルをうまく使いながら走れるのがいい走塁なんです。盗塁は一直線でしょ。盗塁ができてなおかつ走塁もできるのが文句なし。嘉男なんかにはそこを要求したいと思っていましたね。走塁って面白くて深いもの。レギュラーとして全試合に出場するのはもちろん大事なんだけど、守備走塁の意識が高くないと本当の中心選手とは言えない。
嘉男はコンディションづくりも非常にストイックでみんなの見本となり、そういう言動をしていたので素晴らしいと思って見ていました。いつも100%の状態じゃないとダメじゃなく、それぞれの考え方、プロセスの中で高めていってほしかった。嘉男はどちらかといえば完璧主義者。70%のコンディションならそこを100%にするのではなく、70%の中で100%を出す、というモノの捉え方ができればと思っていましたね。長いシーズンにいい時も悪い時もある。悪い時に悪いなりにどれだけのプレーをできるかという思考が必要となってくる。嘉男だけじゃなくてね。
14年は毎日、一生懸命に戦い、みんなが力を発揮してくれたから巨大戦力のソフトバンクとマッチレースができた。強くなるのはこれからだ、と…。そんな中で絶対に欠かせない選手が嘉男だったし、本人も分かっていたんじゃないですか。












