【赤ペン! 赤坂英一】巨人・原前監督は今ごろ枕を高くして眠っているだろうか。今季最終戦(4日、東京ドーム)の辞任のあいさつで、原さん自ら明かした「父の教え」が印象に残っている。
「17年間監督をやり、父の教えで最後まで生きたことがあります。考え事、悩み事、心配事。監督になれば増える。ただし、床に頭をつけたら寝る。どうしても考えたいときは部屋に電気をつけて、椅子に座って考えろと」
父・貢さんに言われたこの言葉を、監督生活の「最後まで教訓としエネルギーとしてきた」と原前監督は強調していた。
しかし、選手時代は寝つけない夜もあったはずだ。打撃不振に陥ると、よく目が充血し、目の下に隈(くま)ができていた。そこで「眠れないんですか」と尋ねると、原はあえて「いや、寝つきはいいんだよ、俺は。昨日も枕に頭をつけるや否やだったね」と答えたものだ。
1989年、近鉄との日本シリーズでは第3戦まで18打席ノーヒット。やはり目を真っ赤にした原は、また眠れないのかと聞かれ、「きょうは床に入ったら思い切って目をつぶります!」と開き直ったように言った。
そんな原が監督就任1年目の2002年、一度だけ「眠れなかった」ともらした夜がある。横浜戦で代打に投手の桑田を起用し、バスターエンドランを成功させて勝った試合後のことだった。
ああいう手段を使って勝つ野球は「正しい野球」なのか。相手に対して礼を失した禁じ手ではなかったか。そう考え始めると眠れなくなり、父・貢さんに助言を求め、こう諭されたそうである。
「思い悩むことはない、これから、逆にやられることもあるんだから」
原監督の師・藤田元司元監督も睡眠不足が悩みの種で、睡眠導入剤ハルシオンを服用していた。その藤田、原両監督の下でヘッドコーチを務めた近藤昭仁氏は生前、こんな逸話を明かしている。
「俺もロッテ監督だった98年、18連敗(日本ワースト記録)してた最中は眠れなくてな。藤田さんによくハルシオンをもらったよ。それをのんでも眠れなかったけどね」
睡眠導入剤を常用している監督は珍しくない。優勝経験のある梨田昌孝(元近鉄、日本ハム)、秋山幸二(ソフトバンク)も使っていた、と両氏に直接聞いたことがある。
ただ、原監督は冒頭の辞任あいさつで「朝はいつも希望に満ちて、よし、今日はやるぞ」と目を覚ましたと語っている。そんなところは選手時代と変わっていない。17年間、お疲れさまでした












